『こどものうんちに赤いものが混じっていました』と驚かれて受診されることがあります。
小児でも血便が出ることはありますが、原因はさまざまです。
少量の血便であれば重症でないことが多いですが、原因を検索する必要があります。
血便が出ていたら受診したほうがよいですか?
はい、受診してください。
確かに、小児の血便は多いですし、少量であれば重症でないことが多いです。
ですが、小児科医がしっかりと診察しないと、本当に大丈夫かの判断が難しいと思いますので、受診は必要と考えています。
鮮血便とタール便について
血便と聞くと、赤い血が便として出てくることをイメージされる方が多いかもしれません。
ですが、大まかに分けて鮮血便とタール便の2種類に分かれます。
鮮血便について
鮮血便は、大腸やS状結腸、直腸といったお尻の出口に近い腸から出血した場合に起こります。
腸から出血しても、すぐに便として出てくるため、血の色が混ざった便になります。
タール便について
タール便は胃・十二指腸など肛門からは遠い場所で出血が起こった場合に出てくる黒っぽい色の便をいいます。
黒っぽくなるのは、長い時間、消化管で血液が消化されたり、分解されるため黒い色になると考えられています。
鼻血を飲み込んだ場合もタール便になることがありますので、黒い便をみたからといって、必ずしも胃や十二指腸から出血したとも限りません。
出血の原因について
出血の原因として多いのは
- 肛門が硬い便で切れてしまった(切れ痔)
- 大腸リンパ濾胞増殖症
- 腸の感染症
が挙げられます。
肛門が硬い便・大きな便で切れてしまう
これはいわゆる「切れ痔」の状態です。
特に便秘がちの子供に多いです。肛門が切れて出血してしまった場合、小児科医は便秘を疑います。
出血を繰り返さないためには、便秘の治療も必要となってきます。
大腸リンパ濾胞増殖症について
これは新生児や乳児に多い出血の原因です。
大腸の中にあるリンパ組織から出血してしまうことがあります。
重大な出血になることはほとんどなく、自然と軽快してしまうことが多いです。
感染症について
サルモネラやカンピロバクターなどの細菌が腸に感染してしまうと血便が出てくることがあります。
ペットと一緒に暮らしている乳幼児で認めることがあるため、血便をみたらペットの飼育歴や動物との接触歴も聞くようにしています。
その他の原因について
その他の原因として
- ミルクや大豆に対する消化管アレルギー
- 潰瘍性大腸炎など炎症性腸疾患
- 若年性のポリープ
- メッケル憩室(と異所性腸粘膜)
- 腸重積
- 胃潰瘍
などがあります。
血便の検査について
しっかりと診察をして、どの疾患が疑わしいかを臨床医は予測しています。
疑われた疾患によって行う検査は異なりますが
- 便の培養検査
- レントゲン
- 超音波
- CT
- 内視鏡
- 核医学検査
などから選択することが多いと思います。
まとめ
小児で血便はわりと診ますし、少量の出血であれば心配いらないことがほとんどです。
血便の原因は意外と多く、場合によっては検査をいくつか組み合わせることもあります。