- こどもが大きないびきをかいて寝ています
- 何回も呼吸が止まっているように聞こえます
- こどもにも睡眠時無呼吸なんてあるのですか?
- 扁桃腺が大きいと言われましたが、睡眠時無呼吸は大丈夫ですか?
など、睡眠時無呼吸に関連した質問をされることがあります。
小児でも閉塞性睡眠時無呼吸(OSAS)になってしまうことはあります。
今回は、子供の閉塞性睡眠時無呼吸(OSAS)について、説明していけたらと思います。
こどもの閉塞性睡眠時無呼吸(OSAS)について
閉塞性睡眠時無呼吸は、英語で「Obstructive Sleep Apnea Syndrome」といわれるため、この頭文字をとってOSASと略されます。
頻度について
小児の閉塞性睡眠時無呼吸は、おそよ1〜3%といわれています。
100人に1〜3人ですので、すごく少ないわけではなく、診療していると割とよく相談されます。
原因について
小児の閉塞性睡眠時無呼吸の原因は様々でして、
- 肥満
- アデノイドや扁桃腺の肥大
- 小顎症(顎が小さい)
- 神経・筋疾患
- アレルギー性鼻炎(花粉症)
などが代表的です。
特に最初の2つ(肥満やアデノイド・扁桃腺肥大)が原因として一般的には多いでしょう。
肥満と睡眠時無呼吸について
肥満児は、頚部(首のまわり)に脂肪が沈着しており、気道(空気の通り道)が詰まりやすくなっています。
また、睡眠時無呼吸があると、酸素が十分に吸えない時間があるので、睡眠の質が悪くなります。
結果として、食欲亢進や運動量の減少を起こすため、肥満が悪化するという、悪循環になっていることがあります。
睡眠時無呼吸の代表的な症状について
こどもの睡眠時無呼吸の症状で多いのは、
- 睡眠中のいびき
- 無呼吸(呼吸が止まっている)
- 昼間のひどい眠気
などが代表的です。
そのほかの症状について
そのほかの症状として、
- 学業成績の低下
- 多動
- 成長障害
- 夜尿症
- 高血圧などメタボリックシンドローム
などと関連していることもあります。
小児の閉塞性睡眠時無呼吸の診断について
アメリカ睡眠医学会の診断基準(2014年)
小児の閉塞性睡眠時無呼吸の診断基準がありA項目とB項目の両方を満たす必要があります。
A項目
A項目は以下の通りになります;
- いびき
- 小児の睡眠中に努力性、奇異性または閉塞性呼吸がある
- 眠気、多動、行動上の問題、または学習上の問題がある
のうち1つ以上に当てはまる
B項目
B項目は主に睡眠ポリグラフで
- 睡眠1時間あたり1回以上の閉塞性、混合性無呼吸または低呼吸がある
- 総睡眠時間の25%以上が高二酸化炭素血症(50 mmHg以上)で定義される低換気のパターンを示し、以下の1つ以上を伴う
a. いびき
b. 呼吸時の鼻圧波形の平坦化
c. 胸郭腹部の奇異性運動
の1つ以上に当てはまる
医療者でないとわかりづらい記載ですが、ざっくりいうと
- いびき、無呼吸や日中の過度な眠気があって
- 睡眠時の検査をしたら異常があれば
閉塞性睡眠時無呼吸症候群といえます。
無呼吸低呼吸指数について
無呼吸低呼吸指数(AHI)という指標があり、これは
- 1時間あたりの無呼吸の回数
を示しています。この値が高いほど、重症と判断されています。
このAHIという指標は、小児では実用的でないという指摘もあります。
そのほかの検査
入院して睡眠時の記録をとるのは小児では容易でないため、
- 問診
- 睡眠状態の家族によるビデオ撮影
- 上気道側面のレントゲン
- 睡眠時の酸素飽和度の測定
などで代用されることがあります。
治療について
治療は多職種で
小児の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療ですが、小児科だけでは対処は難しいので、
- 耳鼻科
- 呼吸器科
- 栄養士
など、様々な専門職の人に入ってもらい、治療にあたります。
特に、肥満による閉塞性睡眠時無呼吸の場合、肥満の改善から介入するため、改善を実感するのに長い時間がかかることがあります。
睡眠時の体位を側臥位にすると有効なこともあります。
CPAP(持続的気道内陽圧)という呼吸を補助する機械もありますが、小児では実施困難なことが多いです。
手術について
アデノイド肥大や扁桃腺肥大がある場合、手術適応になります。
特に肥満のない患者さんでは、80%くらいはアデノイド肥大・扁桃腺肥大を認めるといわれています。
(肥満がある場合は50%くらいがアデノイド・扁桃腺肥大)
まとめ
今回はこどもの閉塞性睡眠時無呼吸 について解説してきました。
小児ではアデノイド・扁桃腺肥大が多いですが、肥満やアレルギー性鼻炎なども原因となります。
治療法は原因によって異なりますので、通院先の先生とよく相談しましょう。