- 大腿骨頭すべり症
- 下肢変形
- ロコモティブ症候群
などお聞きになったことはありますか?
これらは、小児の肥満に合併してしまうことがある、運動器疾患です。
今回は、これらの疾患を簡単に説明していきましょう。
大腿骨頭すべり症
まずは、大腿骨頭すべり症について説明していきましょう。
大腿骨頭すべり症は、その名の通り、大腿骨骨頭(太ももの付け根の骨)のずれを特徴にしています。
大腿骨頭すべり症の原因
大腿骨頭すべり症の詳しい原因は分かっていません。しかし、
- 10〜15歳
- 肥満男児
に多いといわれています。
大腿骨頭すべり症のタイプについて
大腿骨頭すべり症には
- 安定型
- 不安定型
の2種類があります。
安定型は、軽い股関節の痛みや大腿部の痛みや違和感のあるタイプです。
一方で、不安定型ですと、突然に発症する激しい痛みを特徴にしています。
大腿骨頭すべり症の診断
骨盤と大腿骨のレントゲンを撮影し、大腿骨骨頭の骨端線のずれを評価します。
- 軽度:0〜30%
- 中等度:30〜50%
- 重度:50%以上
となっている。
大腿骨頭に壊死などが起こっていないか、MRIで評価するケースもあるでしょう。
大腿骨頭すべり症の治療について
治療は主に手術が主体になり、大腿骨頭を固定したり、すべりの程度がひどければ大腿骨頭頸部の骨切り術を行うこともあります。
下肢変形について
下肢変形のことを「アライメントの異常」などといわれることもありますが、これは骨盤・股関節・大腿骨・膝・下腿骨・足関節が正しく配列されていない場合をいいます。
肥満によって下肢の骨端線内側の障害を起こし、O脚になってしまうことがあります。
場合によっては、
- 足の痛み
- 足の長さの差
を認めることもあります。
放置すると変形性膝関節症になることがあるので、手術で矯正を行うことがあります。
小児のロコモティブ症候群について
ロコモティブ症候群は、
- 関節・軟骨・関節板
- 筋肉
- 神経
のいずれか、あるいは複数の傷害によって移動能力が低下した状態をいいます。
高齢になって発症することが多いですが、小児期での肥満やメタボリックシンドロームが一因になります。
小児肥満の場合、骨折や捻挫を起こしやすく、下肢の痛みや背部痛を訴えることもあります。
まだ小児期のこれらの症状が、長期的にどの程度影響するかははっきり分かっていませんが、肥満を改善し、運動機能を年齢相当に改善させることは重要でしょう。
まとめ
小児の肥満と運動器疾患の関連について簡単に説明してきました。
肥満によって運動器に傷害がでると、さらに運動をしなくなるため健康障害が悪化する可能性があるため、肥満が高度になる前の早期介入が重要かもしれません。
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