前回、B型肝炎ウイルスに感染した場合に起こる症状、慢性化のリスク、ワクチンについて解説してきました。
最近はB型肝炎ウイルスの予防接種も定期化され、普及してきています。
しかし、
- 子どもにB型肝炎予防って必要?
- お産の時以外に感染することもあるの?
などなど、様々な質問をうけることがあります。
今回は、B型肝炎ウイルスのワクチンについて、よくうける質問にお答えしてみようと思います。
B型肝炎について
肝炎はお酒やメタボが原因じゃないんですか?
- 肝炎って、お酒やメタボが原因でなる「大人の病気」じゃないのですか?
と質問されることがあります。
確かに、アルコール性や肥満に伴い肝炎を起こすことがあります。
ですが、肝炎を起こすウイルスに感染することでも起こる病気です。
これは、大人も子供も一緒で、誰にでもかかる可能性があるのです。
B型肝炎ウイルスは移りやすいのですか?
B型肝炎ウイルスは、一般的には感染力(ウイルスが移る能力)が強いといわれています。
C型肝炎やHIVなども血液感染するウイルスとして有名ですが、B型肝炎のほうが血液中でウイルスの量が多くなりやすく、感染のリスクが高いといわれています。
B型肝炎になると、どうなるか
小児の場合、無症状が多いです
B型肝炎は、少なくとも50%程度は感染しても症状が出ないといわれています。
年齢別にみると
- 12ヶ月未満:ほぼ 95%
- 1−4歳:約90%
- 5歳以上:約65%
で無症状といわれています。
このため、気づいたら感染していたというケースもあります。
感染した後に体から排除されないのですか?
確かに無治療でも治ることが多いですが、感染したあとにウイルスが排除されず、肝臓に住み着いてしまうこともあります。
この状態を「キャリア」といいます。
特に、小児ではキャリアになりやすいため、予防が必要と考えています。
「キャリア」になると、その後はどうなるのでしょうか?
キャリアになった後、約1割が肝機能が異常となる「慢性肝炎」となります。
さらに、この慢性肝炎の状態が続くと、
- 肝硬変
- 肝がん
へと進行する可能性もあるのです。
B型肝炎ワクチンについて
日本でB型肝炎の患者が多いのですか?
日本ではおよそ130〜150万人程度のB型肝炎ウイルスの患者がいると推定されています。
このなかには、
- 予防法をしらずに感染してしまった
- 自分が感染していることに気づいていない
といった方々もいるのが実情です。
日本以外でもB型肝炎ワクチンは行なっているのですか?
2015年では、WHOに加盟している194カ国のうち、184カ国であ全ての赤ちゃんへの接種されています。
日本だけ行なっているワクチンではなく、むしろ世界的に推奨されているワクチンです。
なんで赤ちゃんのうちに接種しないといけないですか?
こどもに移るのでしょうか?
B型肝炎は血液感染のイメージが強いため、分娩時の母子感染以外では移らないのでは?と質問されることもあります。
しかし、B型肝炎ウイルスは唾液や体液(汗・涙も含む)からも感染することがあります。
B型肝炎ウイルスの感染の3割程度は、分娩時の母子感染以外といわれています。
例えば、小児が長時間にわたる集団生活で感染することもあります。
このため、乳児期からのワクチンが推奨されています。
1歳未満でB型肝炎ワクチンを接種するのは、普通ですか?
- これまで定期接種でもないのに…
- 成人してからで良いのでは?
などのご意見をいただくこともあります。
まず、保育園など集団生活で感染するリスクがあるため、より早期からの接種を勧めています。
例えば、アメリカなどの先進国でも0歳時から接種しています。
妊婦健診で母親がB型肝炎ウイルスのキャリアと判明した場合は、どうするのですか?
赤ちゃんがお腹にいるとき、母がB型肝炎ウイルスのキャリアと判明することがあります。
この場合は、予防接種のスケジュールなども変わり、
- 生後すぐ:抗HBs免疫グロブリンとワクチン接種1回目
- 1ヶ月:ワクチン接種2回目
- 6ヶ月:ワクチン接種3回目
となります。
まとめ
B型肝炎は予防可能で、ワクチンが導入されました。
定期接種になり普及は広がりましたが、ワクチンへの正しい理解はまだ時間がかかりそうです。現に、医療関係者からも、質問をうけることも多いです。
実はB型肝炎はこどもが感染しやすい環境にあり、予防が大事なこと理解することも大切です。
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