Fritzsching B, Contoli M, Porsbjerg C, Buchs S, Larsen JR, Elliott L, Rodriguez MR, Freemantle N. Long-term real-world effectiveness of allergy immunotherapy in patients with allergic rhinitis and asthma: Results from the REACT study, a retrospective cohort study. Lancet Reg Health Eur. 2021 Nov 30;13:100275. doi: 10.1016/j.lanepe.2021.100275. PMID: 34901915; PMCID: PMC8640513.
アレルギー性鼻炎および喘息患者におけるアレルゲン免疫療法の長期的な実臨床での有効性:REACT研究 [ドイツ編]
研究の背景/目的
アレルゲン免疫療法(AIT)は、呼吸器アレルギーに対する唯一の原因療法である。しかし、AITの長期的な実臨床での有効性は、ランダム化比較試験(RCT)の証拠を超えて十分に示されていない。
研究の方法
REACT(Real-world Effectiveness in Allergy Immunotherapy)は、2007年から2017年までの請求データを用いた後ろ向きコホート研究である。対象は、喘息の有無を問わずアレルギー性鼻炎(AR)と診断され、AITを受けた患者とした。比較可能な群を確保するために、AIT治療を受けた患者と対照群を1対1の傾向スコアマッチングを行い、特徴や交絡因子を考慮した。アウトカムは、AIT前後の比較(AIT群内)およびAIT群と対照群の比較(群間)の両方で評価し、9年間の追跡調査を実施した(ClinicalTrials.gov: NCT04125888)。
研究の結果
AITを受けた46,024人の患者が対照群とマッチングされ、そのうち14,614人が既存の喘息を有するコホートに含まれた。AIT群の平均年齢は29.5歳(標準偏差16.3)で、53%が男性だった。
治療開始前年と比較すると、AITは対照群と比較して、アレルギー性鼻炎および喘息治療薬(コントローラーおよびリリーバー)の処方の大幅な減少と関連していた。さらに、AIT群では喘息治療のステップダウン(治療強度の引き下げ)の可能性が有意に高かった(P <0.0001)。また、AIT群では喘息治療の減少に加え、重症喘息増悪の減少も確認された(P <0.05)。さらに、抗生物質を要する肺炎、入院、および入院期間の短縮も、AIT群で有意に良好な結果を示した。
結論
本研究は、AITの長期的かつ持続的な有効性を実臨床のデータで示すことで、既存のRCTのエビデンスを補強するものである。特に、喘息を併発する患者において、AITは喘息増悪および肺炎のリスク低減と関連していた。
考察と感想
ざっと本文をよんだ感じですが、主要な結果は以下の通りです:
- AR治療薬(抗ヒスタミン薬、点鼻ステロイドなど)の処方が大幅に減
- AIT開始後1〜4年は医師の診察回数は増加
- 喘息治療薬(SABA、ICS、ICS/LABA)の処方が減少
- 重症喘息の発作リスクが9年間一貫して低下
- 喘息関連の入院や抗生物質が必要な呼吸器感染症のリスクが低下
- 医療費は最初の数年間はAIT群の方が高かったが、5年目以降は対照群の方が増加
- 喘息のない人においては、AITを受けた人の方が「新たに喘息を発症するリスク」がやや高かった
AIT群では一貫して治療薬の処方が減少し、特に喘息のコントロールが改善されたことが示されています。一方で、アウトカムの一部の評価方法が曖昧なのと、治療中断者の扱いをどうしたのかが不明瞭な印象を受けました。
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