小児科

標準化ハウスダストダニ舌下免疫療法(SQ-HDM)は、喘息コントロールを維持しながら吸入ステロイド使用量を減少 [EU]

本研究は、ハウスダストダニ誘発喘息患者において、6 SQ-HDM舌下免疫療法(SLIT)が吸入ステロイド(ICS)の使用量を有意に減少させながら喘息コントロールを維持できることを示したランダム化二重盲検プラセボ対照試験である。
 
参考文献

Mosbech H, Deckelmann R, de Blay F, Pastorello EA, Trebas-Pietras E, Andres LP, Malcus I, Ljørring C, Canonica GW. Standardized quality (SQ) house dust mite sublingual immunotherapy tablet (ALK) reduces inhaled corticosteroid use while maintaining asthma control: a randomized, double-blind, placebo-controlled trial. J Allergy Clin Immunol. 2014 Sep;134(3):568-575.e7. doi: 10.1016/j.jaci.2014.03.019. Epub 2014 May 3. PMID: 24797423.

標準化ハウスダストダニ舌下免疫療法(SQ-HDM)は、喘息コントロールを維持しながら吸入ステロイド使用量を減少 [EU]

研究の背景/目的

現在の基準を満たす研究は、喘息患者におけるハウスダストダニ(HDM)アレルギー免疫療法の効果に関して限られている。

本試験では、標準化された品質(SQ)を持つハウスダストダニ舌下免疫療法(SLIT)タブレット(ALK社、デンマーク・ホーシュホルム)の有効性と安全性を、HDMによる呼吸器アレルギー疾患を有する成人および青年において評価した。本論文では、喘息に関連する評価項目の結果を報告する。

研究の方法

14歳以上のHDMアレルギー性鼻炎および軽度から中等度の喘息を有する604名の被験者を、1:1:1:1の割合で、3種類の有効用量(1、3、6 SQ-HDM)またはプラセボのいずれかを毎日投与する二重盲検ランダム化試験に割り当てた。被験者の吸入ステロイド(ICS)の使用は、ベースライン時および治療終了時に、喘息コントロールを維持できる最小用量に調整した。主要評価項目は、1年間の治療後における個々の被験者のベースライン用量からのICS用量の減少であった。

研究の結果

主要解析では、6 SQ-HDM群とプラセボ群の間で、1日あたりのICS用量の減少において平均差81 μg(P = .004)が認められた。相対的な平均および中央値の減少率は、6 SQ-HDM群でそれぞれ42%および50%、プラセボ群で15%および25%であった。他の喘息関連パラメータでは統計的に有意な差は観察されず、これは試験対象者の喘息コントロールが意図的に維持されていたことを反映している。最も一般的な副作用は口腔内の局所反応であり、有害事象の発生率および重症度は、3および6 SQ-HDM群で1 SQ-HDMおよびプラセボ群よりも高かった。

結論

6 SQ-HDM群において、プラセボと比較して、喘息コントロールを維持するために必要なICS用量の中等度の統計的に有意な減少が認められ、軽度から中等度の喘息患者に対する有効性が示された。すべての有効用量は良好に耐容された。

考察と感想

本研究は、軽度から中等度のハウスダストダニ誘発喘息患者に対する舌下免疫療法(SLIT)として、6 SQ-HDMが最も推奨される容量 で、

  • ICSの減量または中止に大きく寄与
  • 副作用は軽度~中等度

という結果だったようです。

本試験は1年間の治療期間を対象としており、より長期間(2年以上)の効果や、より高用量(12 SQ-HDM)の有効性を評価する試験も進行中でとのことでした。

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Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。