前回は、こどもの発疹について、
- 発疹があるときの入浴
- かゆみの対応
- ご飯を食べたがらない時の対応
について説明してきました。
お子さんは感染症など様々な機会に発疹が出現することがあります。発疹についてよくある質問について、簡単にお答えできればと思います。
小児科と皮膚科どちらがよいですか?
どちらがよいかは、ケースバイケースかと思います。
例えば、
- 発熱している
- 急激な全身の発疹
- 紫斑がある
- 緊急性が高い(アネフィラキシーなど)
の場合は、全身が診れる小児科のほうが良いケースが多いと思います。
一方で、部分的な発疹(肘、膝、手首だけ)で、発熱や急激な発症など全身の症状を伴わない場合は、小児科でも皮膚科でもよいと思います。
小児科と皮膚科では、皮膚疾患に関する知識や考え方が異なることがあるので、どちらがよいと言うわけではありません。
また、小児科の皮膚診療の質はかなりばらつきがありますし、皮膚科でも小児の皮膚を得意としない方も多数いると思います。
熱があれば受診した方が良いか?
確かに感染症による発疹の場合、発熱を伴う場合があります。
とはいえ、突発性発疹などは、急に発熱してその後に発疹が出ますが、特別な処置をしなくても軽快してしまいます。
一方で、熱がなければ様子をみていてよいというわけでもありません。
例えば、熱がなくても重症なケースがあります。アナフィラキシーなどは代表的な例でしょう。
アナフィラキシーでは、アレルギー症状が強くて、全身にアレルギー症状が出ていることがあります。この場合、速やかに医療機関に受診されたほうがよいでしょう。
そのほかに、免疫性血小板減少症(ITP)があります。
こちらの病気は、体内での血小板数が減少したため出血しやすくなり、紫斑(青あざ)が全身に出ます。
本人は元気にしていることが多いですが、放置すると重大な出血を起こすことがあるため、お早めに受診されたほうがよいと思います。
こどもの発疹は跡が残りますか?
小児の皮膚は薄いため、蚊に刺された時や、ウイルス性疾患などで発疹が出現した場合、目立って見えてしまうことがよくあります。
短期的には跡がみえてしまうことがあります。これは皮膚に炎症が起きて、その後に色素が沈着してしまうため、ある意味仕方がないことです。
しかし、皮膚の症状は成長とともに、自然に薄くなり、消えてしまうことが多いでしょう。
跡が残りやすい疾患について
必ず残るわけではないのですが、
- 伝染性膿痂疹(とびひ)
- 水疱瘡(水ぼうそう、水痘)
- 麻疹
は跡が残ってしまうことがあります。
とびひに関しては確実な予防法はないのですが、普段から皮膚を清潔に保つこと、保湿などをしっかりして皮膚を良い状態にしておくことが重要と考えています。
こちらで詳しく解説しています。
水痘に関しては、ワクチン接種で予防できます。
1歳からワクチンは可能ですので、対象年齢になったらお早めに接種するとよいでしょう。
麻疹(はしか)も色素沈着を残すことがあります。色素沈着は一時的なことが多く、時間とともに自然と消えていくことが多いでしょう。
発疹の原因ってなにがありますか?
発疹と一言でいっても、様々な種類があります。大きく分けて、
- 全身性(感染症による)
- 全身性(感染症以外)
- 局所性
に分けて考えておくとよいでしょう。
感染症による全身性の発疹
小児の感染症で発疹が全身に出やすいのは、
- 突発性発疹
- 手足口病
- 伝染性紅斑(りんご病)
- 水痘
- 猩紅熱
- 麻疹
- 風疹
あたりが多いと思います。
それぞれについては、こちらで詳しく解説しています。
突発性発疹について
伝染性紅斑について
猩紅熱について
感染症以外による全身性の発疹
感染症以外でも全身性の発疹が出ることがあります。例えば、
- 川崎病
- 薬疹
- 紫斑病
- アトピー性皮膚炎
- 食物アレルギー
などでも全身性に発疹が出ることがあります。
局所性の発疹
局所性発疹として多いのは、
- 接触性皮膚炎
- 虫刺され
- 汗疹
などが代表的と考えています。これらは日頃のスキンケアも大事な疾患です。
まとめ
今回は発疹があるときによくあるついて簡単に説明してきました。
発疹がひどくならないために、ご家庭どとに話し合った結果から、簡単に対処法を知っておくとよいと思います。
・CURRENT Diagnosis and Treatment Pediatrics, Twenty-Fourth Edition
・Nelson Textbook of Pediatrics, 2-Volume Set
・Nelson Essentials of Pediatrics, 8e
・Medical Note presents
・小児科学, 10e
・小児の薬の選び方・使い方
・HAPPY!こどものみかた
・子どもの風邪
・小児科診療ガイドライン
・今日の治療薬