小児科

生活リズムを見直して、小児肥満を予防する

小児の肥満について、これまでに様々な記事を書いてきました。

こどもの肥満は将来の糖尿病や心疾患のリスクになりえるので、早い時期からの対応が望ましいのですが、なかなか一筋縄にはいきません。

肥満というと「食生活と運動不足が原因でしょう」と考える方が多いと思います。

もちろん正しい考え方と思いますが、食事・運動以外にも生活リズムが影響していることがあります。

 

今回は、小児の肥満予防・改善のために、どのような生活リズムを取り入れたらよいかを説明していこうと思います。 

 

睡眠時間が短いと肥満になりやすい

  • 睡眠時間が短いと肥満になりやすい

という報告は成人でも、小児でも散見されています。

ひょっとしたら、

「どうして睡眠時間が短いと、肥満になるのですか?」

と疑問のある方がいるかもしれません。

明確な機序は分かっていませんが、

  • 起きている時間が増えるので、摂食機会の増加
  • 睡眠不足により日中の活動度の低下
  • レプチンの低下、グレリンの上昇

などが指摘されています。

www.ncbi.nlm.nih.gov

 

 レプチンとグレリンについて

  • レプチンってなに?
  • グレリンって初めて聞くのですが?

と疑問に思われたかもしれません。端的に説明をすると、

  • レプチンは摂食を抑制する
  • グレリンは摂食を促進する

作用があります。

短時間睡眠になると、レプチンが減り、グレリンが増えるため、食欲が亢進して肥満の原因になります。

 

夜勤や当直明けなどに、食欲が異常に亢進したり、不健康なものを食べたくなったりしてしまった経験があるかもしれません(私がそうです…)

 

肥満になりやすい健康習慣

小児肥満の原因も徐々に報告数が増えており、疫学研究では幼児期の生活習慣と肥満の関連がいくつか報告されています。

 

 小児肥満になりにくい生活習慣

小児期に肥満になりにくい生活習慣は、

  • 家族で夕食をとっている
  • 十分な睡眠時間を確保している
  • 平日のテレビ視聴・ゲームなど画面を視る時間は2時間以内

の3つを守っていると、肥満になる頻度は40%ほど低くなるといわれています。

 家族で夕食を摂ることで、栄養のバランスが取れます。十分な睡眠をすることで、食欲を抑えられますし、テレビなどスクリーンを視る時間を減らすことで運動不足解消になり、肥満になりづらくなります。

 小児肥満になりやすい生活習慣

上にあげた3点の逆をすると、小児肥満になりやすいです。つまり

  • こどもだけで夕食をとる
  • 短時間の睡眠
  • テレビやゲームなど、スクリーン時間が長い

などは、肥満になりやすくなると言われています。

そのほかに指摘されている肥満になりやすい生活習慣は;

  • 朝食ぬき
  • 脂質の過剰摂取
  • ファーストフードの増加
  • 砂糖の入ったジュースの過剰摂取

などが指摘されています。

 

まとめ

運動や食事は小児肥満の予防に非常に重要ですが、生活習慣も大切です。

心がけると良い点として

  • 睡眠時間を十分に確保する
  • こども1人でご飯を食べない
  • テレビ・ゲームの時間は2時間以内

などのポイントがあげられます。

肥満の予防としても役立つと思いますので、普段の生活から心がけていくとよいでしょう。

 

 

小児肥満症診療ガイドライン2017

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Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。