小児科

【小児のかぜ】解熱薬と気管支拡張薬の科学的根拠について【系統的レビュー】

前回、メタ解析の結果を中心い、抗ヒスタミン薬、去痰薬、咳止め、ハチミツの有効性を検証してきました。 

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まとめると

  • 抗ヒスタミン薬の有益性はほぼなし
  • 去痰薬は咳を多少短くするかも
  • 咳止めとハチミツは咳と睡眠の質を改善させるかも
    (ただし、メジコン®︎は副作用が多い)

でした。残りは、

  • 気管支拡張薬
  • 解熱鎮痛薬
  • 整腸剤
  • 制吐剤
  • 抗生物質(抗菌薬)

あたりがよく処方されており、今回は気管支拡張薬と解熱鎮痛薬について、さらっとレビューしていければと思います。

気管支拡張薬について

気管支拡張薬というと、

  • ホクナリンテープ
  • ツロブテロールテープ
  • セキナリンテープ
  • メプチンドライシロップ

などが該当します。

気管支拡張薬の有効性について

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こちらのシステマティックレビュー・メタ解析で、小児(と成人)の気管支炎において気管支拡張薬の有効性を検討されています。

小児のRCT(ランダム化比較研究)は少ないため、結論づけるのはやや難しいですが、

  • 気管支拡張薬を使用しても、咳の重症度は変わらない

という結果でした。

(*喘息のあるお子さんは研究対象ではありません)

気管支拡張薬は咳止めではありませんよ

よくホクネリンテープやツロブテロールテープは咳止めと思い込んでいる保護者の方々がいます。

ですが、これらの薬は、咳止めの効果はありません。

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解熱鎮痛薬について

解熱鎮痛薬は、その名の通り、発熱や痛みを和らげるお薬です。

小児では、

  • アセトアミノフェン(カロナール、コカールなど)
  • イブプロフェン

あたりが処方されることが多いでしょう。

解熱鎮痛薬の有効性において

www.ncbi.nlm.nih.gov

こちらの研究では、かぜをひいた小児と成人を対象に、解熱鎮痛薬(NSAIDs)の有効性を検討しています。

当たり前の結果ですが、

  • 風邪の期間は短縮しない
  • 咳の症状も改善しない

 となっています。

一方で、頭痛・筋肉痛・耳の痛み、といった痛みによる不快感は改善しています。

解熱鎮痛薬は根本的な治療ではないですよ

 時々、

  • 「解熱剤を使ったのですが、熱がすぐに戻ります」
  • 「解熱剤を飲んだのですが、風邪の症状が治りません」

 と相談されることがあります。

解熱鎮痛剤は、あくまで発熱や痛みによる苦痛を和らげる薬でして、かぜの原因となるウイルスや細菌をやっつける力はありません。

虫歯に痛み止め(解熱鎮痛薬)を使用しても虫歯が治らないように、かぜに解熱薬を使用しても、かぜそのものは治らないです。

(とはいえ、かぜは虫歯と異なり、自然軽快することがほとんどですので、過度に心配しないでください)

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まとめ

今回は気管支拡張薬と解熱剤のメタ解析の結果を簡単にレビューしてきました。

まとめると

  • 気管支拡張薬を使用しても咳は改善しない
    (喘息のある子供は除く)
  • 解熱鎮痛薬は、かぜと一緒に起こる痛みに有効
  • 解熱鎮痛薬は、風邪の症状の期間は短縮させない

といえます。

次回は、整腸剤・制吐薬・抗菌薬などについて解説していこうと思います。

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ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。