小児科

先天性鼻涙管閉塞について解説します

鼻涙管閉塞ってなんですか?

鼻涙管閉塞(びるいかんへいそく)は、その名の通り「鼻涙管」が「閉塞」してしまった状態をいいます。

 

目と鼻は鼻涙管という細い道(涙道)でつながっています。

ここが何らかの原因で閉塞してしまうと、涙は鼻へと流れなくなってしまいます。

先天性と後天性の鼻涙管閉塞

鼻涙管閉塞は先天性と後天性があり、

  • 先天性は鼻涙管が閉塞したまま出生した場合
  • 後天性は開通していた鼻涙管が、何らかの原因で閉塞した場合

をいいます。

先天性鼻涙管閉塞について

鼻涙管が閉塞したまま生まれてくることを、先天性鼻涙管閉塞といいます。

本来、鼻涙管は開通しているのですが、鼻涙管に薄い膜が残っていて鼻涙管を閉塞してしまっていることがあります。

実は、新生児の5〜30%くらいは鼻涙管が閉塞した状態で生まれてくるといわれています。

鼻涙管が閉塞していると、どのような症状がでますか?

鼻涙管が閉塞していると、目と鼻の交通が遮断されてしまうため、

  • 涙の量が増える
  • 目が充血する
  • 目やにが増える

といった症状が出やすいです。

さらに、鼻涙管が閉塞していると、涙が涙囊などに滞るため、感染しやすくなります。このため

  • 新生児涙囊炎

にかかることがあります。

新生児涙囊炎について

新生児涙囊炎になると、目やにが増えたり、涙囊(眼頭と鼻の付け根あたり)が晴れてしまうことがあります。

ひどいときは、涙囊を押すと膿がでてくることもあります。

鼻涙管閉塞の治療について

鼻涙管閉塞の治療は

  • 特に治療をせず様子をみる
  • マッサージをする
  • 点眼薬を使用する
  • 涙道ブジーをする

の4つがあります。

特に治療をせず様子をみる

先天性鼻涙管閉塞は自然開通することがあるため、症状が軽度の場合は生後6ヶ月くらいまでは特に治療をせず様子をみることがあります。

マッサージをする

鼻涙管の開通を促すため、涙囊付近をマッサージするように指導する医師もいます。

ご家庭で1日数回、1回5分程度ですが、涙囊のあたり(目頭と鼻の付け根)を優しく圧迫する方法です。

目頭のあたりを上側から下側へやさしくマッサージします。

点眼薬を使用する

目やにが多かったり、涙囊炎になってしまった場合は抗菌薬の点眼を使用することがあります。

涙道ブジーをする

しばらく様子をみても鼻涙管が開通しない場合、ブジーをすることがあります。

これは、細い針金のようなものを鼻涙管に通して、涙道の閉塞を解除し、開通させる手術です。

先天性鼻涙管閉塞では生後数ヶ月〜1年くらいで自然に治ることが多いです。1歳くらいまでは経過観察をして、それでも治らない時に行うことがあります。

まとめ

先天性鼻涙管閉塞は、鼻涙管という鼻と目をつなぐ管は閉塞した状態をいいます。

自然に治ることも多いですが、マッサージをしたり、涙道ブジーを行うことがあります。

涙囊炎になってしまうことがあります。

 

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。