以前、『生後3ヶ月未満の発熱は要注意』と説明しました。
生後3ヶ月未満の乳児・新生児は、免疫能が未熟であるため、重症化してしまうことがあります。
発熱した際には、注意深く様子をみる必要があるので、開業医ではなく入院できるレベルの病院へ受診したほうがよいでしょう。
この『重症な感染症』の1つに敗血症があります。
新生児の敗血症とはなにか?
『敗血症(はいけつしょう)』と聞いても、ピンとこない方が多いかもしれません。
敗血症を簡単に説明すると、
- 血液に細菌などが感染して、
- 全身に炎症が起こり、
- 体の臓器(肝臓・腎臓など)が機能しなくなる
状態をいいます。
敗血症になってしまった場合、命が危険にさらされるため、速やかな治療が必要です。
新生児が敗血症になると、どのような症状が出るか?
新生児が敗血症になってしまうと;
- 発熱する(逆に低体温のこともあります)
- 呼吸が速くなる
- 哺乳量が普段よりも少なくなる
- 嘔吐する
- 黄疸が出る(皮膚が黄色くなる)
- 哺乳する時間になっても起きない
- 手先や唇が紫色になる
といった症状が出ます。
すぐに病院にかかったほうが良いですか?
生後1ヶ月未満で発熱した場合などは、できるだけ早めに受診しましょう。
お子さんの免疫力が弱く、体の予備力も少ないので、小児科医に診てもらいましょう。
どのような検査をしていますか?
敗血症が疑われた場合;
- 血液検査
- 髄液検査
- 尿検査
- 胸部レントゲン
などを行います。
血液検査について
血液検査を行う目的をあげると;
- 体の炎症をみる(白血球やCRP)
- 体の臓器に異常がないかみる(肝臓・腎臓など)
- 血液にバイ菌が入り込んでないかみる(血液培養)
などを確認しています。
髄液検査
新生児は髄膜(脳を囲う膜)や尿路(尿の通り道)にバイ菌が侵入して、悪さをしていることがあります。
髄膜に感染すると、髄液に細菌が出てきます。
髄液検査では、腰の背骨から細い針を通して髄液を採取し、細菌が出てこないか確認をしています。
尿検査・レントゲンについて
尿路に感染すると、尿を検査すると細菌に感染しているかわかります。
肺に細菌が感染すると、レントゲンで白い影として見えることがあります。
このように、どの組織に原因となる細菌が潜んでいるかを確認するために、髄液・尿検査、さらにレントゲンも行なっています。
敗血症の治療について
敗血症は生命を脅かす感染症ですので、入院が必須になります。
入院をして、原因となっている細菌を退治するために、抗生物質します。
また、全身の状態を整えるために点滴で補液をしたり、呼吸が苦しそうにしていないか、など赤ちゃんの体の様子を観察しています。
まとめ
敗血症は、血液にバイ菌が入り、全身の組織(腎臓・肝臓など)が機能しなくなった状態をいいます。
命に危険があるため、入院をして様子をみる必要があります。
特に1ヶ月未満の新生児の発熱は非常に危険ですので、お早めに医療機関へ受診しましょう。