通常、心臓は左心室・左心房・右心室・右心房と4つの部屋に区切られています。
心室中隔欠損(VSD, ventricular septal defect)は左心室と右心室の間に穴が開いてしまった状態をいいます。(上の図右)
左心室にある血液は本来は大動脈を介して全身に回りますが、心室中隔欠損があると左心室から右心室へと血液が流れてしまいます。
心室中隔欠損があると、心臓の音を聴診器で聞いたときに、雑音が聞こえます。
心室中隔欠損の症状について
心室中隔欠損の穴の大きさ次第で症状は異なります。
小さな穴である場合、特に症状を認めず、聴診器で雑音を聴取して初めて発見されることもあります。
穴が大きいと、生後2〜8週までに症状がでてくることが多いです。例えば;
- 心拍数が早い
- 体重増加が悪い
- 哺乳量が少ない
- 疲れやすい、汗をよくかく
- 手足が少し青い
といった症状です。
聴診器で雑音が聞こえるため、生後すぐに発見されたり、1ヶ月健診や3ヶ月健診で見つかることもあります。
心室中隔欠損の検査について
心室中隔欠損を疑った場合、小児循環器を専門にしている先生に診てもらうと良いでしょう。病院で行う検査として;
- 心電図
- 胸部レントゲン
- 心臓の超音波検査
をされることがほとんどと思います。
心電図では、心臓の電気活動が正常であるかを確認します。
超音波検査では心臓の断面図をみることができますので、実際に心室中隔欠損があるか、大きさはどの程度かを確認します。
心室中隔欠損の治療について
心室中隔欠損の治療は、穴の大きさによって異なります。
欠損孔が小さい時
小さな穴であれば、特に症状がなく、自然に閉鎖してしまうこともあるので、様子をみることもあります。
この場合、定期的に受診してもらい、心臓の検査を行いながら、問題がなければ様子をみます。
欠損孔が大きい時
欠損孔が大きい時、もちろん定期受診は必要ですが、治療を行うことが多いでしょう。
具体的には
- 内服治療で心臓の負担を減らす(利尿薬など)
- 手術を行う
でしょう。
手術を行う時期は、心室中隔欠損の大きさや、心臓の機能、本人の症状によって異なります。
施設によって行う時期は異なりますが、生後6ヶ月〜1歳くらいで手術を行われることが多いでしょう。
欧州の一部の国や米国では、膜性部や筋性部の心室中隔欠損はカテーテルで治療している施設もあるようです。日本での普及が待たれます。