- 3〜4ヶ月健診ってどんなことしますか?
- 小児科医は健診でなにを見ているのですか?
- 赤ちゃんの様子で気になっていることがあります
- 3〜4ヶ月の子供をもつ母に、なにかアドバイスありますか?
など、様々な疑問点があると思います。
特に、新生児期を乗り越えたものの、まだ子育てに対して不安があったり、追い詰められるような心境の方もいると思います。
集団健診だとなかなか聞けない、聞き辛いこともあると思いますので、こちらに健診の役割、診察内容、具体的なアドバイスをまとめています。
3〜4ヶ月健診の役割
健常な乳児は、運動・神経・精神の発達は並行しています。
乳児では、特に運動発達のチェックが重要となります。
3ヶ月健診では、適切に栄養が取れて、その結果、運動発達が適切かどうかを確認しています。
赤ちゃんのここをみています
3〜4ヶ月児は、左右対称の姿勢のことが多いです。
顔は正面を向いて、両下肢は屈曲させています。
両手を顔の前にもっていき、手を眺めたりしています。
この行為を『ハンド・リガード』といい、これは正常な発達です。
身長・体重・頭囲
3ヶ月〜4ヶ月時の身長・体重・頭囲の目安は、
- 身長:60 cmくらい
- 体重:5〜7 kgくらい
を目安にしています。
出生時の体重や、その後の成長曲線を参考にしながら、体重が少なすぎないかを見ています。
乳児期は体重が少なすぎると、(RSウイルスなど)感染症に対して弱くなることがあるので、注意をしてみています。
粗大運動について
手足や全身の動きのことを粗大運動といいます。
3〜4ヶ月健診で重要なのは、首の座りをみます。
引き起こす時に、頭が45°くらいで、体幹と並行になるかどうかをみます。
3ヶ月で首がすわっていなくても異常とは限りませんが、4ヶ月くらいには首が座っているのが望ましいです。
引き起こしをした時に、足がつっぱったり、体が反ったりしていないかも同時にチェックします。
神経・精神発達について
運動の発達以外にも、神経や精神発達をみています。
① あやすと笑う
大人があやしたり、何かを働きかけると、反応して笑うようになります。
機嫌の良いときは、しきりに声をだして遊ぶようになります。
② 追視
ペンライトで左右180°から確認します。
3ヶ月ですと、水平方向の追視は上手にできます。
上下の追視は上手くできないことも多いので、あまり気にしません。
目の色や斜視も診ています。
③ ガラガラをもたせる
4ヶ月くらいになると、手に触れたものを握ったり、振ったりすることができます。
両手とも使用しているかもみて、片方の麻痺がないか、握力が正常であるかを確認します。
④ 反射の消失
この時期になると、モロー反射や自動歩行反射も消失してきています。
これらの反射の有無をみている先生もいます。
小児科から教える育児のポイント
母親との接し方
徐々に母親のよびかけに反応したり、母親と他人を区別することができます。
昼間起きている時間が長くなり、昼夜の生活リズムがでてくるので、子育てが少し楽になってきます。
哺乳瓶を嫌がることがあります
3〜4ヶ月はミルクを欲しがるときや、欲しがらないときがはっきりしてきます。
哺乳瓶をすごく嫌がる時期でもあります。
強制すると余計に嫌がることがあるので、少し時間をおいて再度あげる、乳首をかえてみる、あやしながら気を紛らわせてあげるとよいでしょう。
体重の増加が悪い場合は、一度は小児科に相談されるとよいでしょう。
皮膚トラブルが多いです
この時期も湿疹がでることがおおいです。
しっかりと皮膚の清潔と保湿をたもつようにしましょう。
便秘はクセになるまえに治療
この時期も1日1回以上の排便が望ましい時期です。
日中にいきんでもなかなか便が出ない、2~3日に1度しか出ないなどがあれば、小児科で相談されるとよいと思います。
果汁はNGですよ
果汁等を勧める医師や育児書がありますが、オススメしません。
これらの甘いものは離乳食やお子さんの歯や成長・発達にも悪影響をおよぼします。
基本的には果汁は1歳以降に与えるようにしましょう。
はちみつもNGですよ
はちみつはさらに危険です。
はちみつは乳児ボツリヌス症の原因になるので、絶対に与えないでください。
発熱について
3ヶ月未満の発熱は必ず医療機関に受診するようにしましょう。
3ヶ月を超えても、油断はせず、発熱した場合は、まずはお近くの小児科でご相談されるとよいと思います。
(本人の機嫌がよければ、発熱のみで夜間に救急受診はしなくてもよいでしょう)
事故が多い時期です
この時期は窒息の危険性が高い時期です。
赤ちゃんは興味のあるものは手にとって、口の中にいれて確認をするクセがあります。
ですので、近くに飲み込みそうなものは置かないように注意しましょう。
うつぶせ寝はやめましょう
ご存知の方が多いと思いますが、うつぶせ寝は乳児突然死症候群 (SIDS) の原因になります。
保護者の目が届かない場所や夜間はうつぶせ寝を避けるようにしましょう。
SIDSは生後6ヶ月までに起こることが多いです。
3〜4ヶ月の時期もまだ注意が必要です。
添い寝のリスクも知っておきましょう
日本を含むアジア圏では添い寝の文化がありましたが、実は「添い寝はSIDS(乳児突然死症候群の危険性が上がる」といわれています。
時々、ツイッターやネット上で添い寝を推奨する方(医療者も含む)を散見しますが、赤ちゃんは、赤ちゃん用のベッドに眠ることをお勧めしています。
発達で小児科受診が必要なケース
以下に該当する場合は、小児科に相談されるとよいでしょう:
- 4ヶ月で首がすわらない
- あやしても笑わない
- 追視しない
- いつも手を握っている
- 体がずっと反り返っている
です。
小児神経の専門医のいる病院が受診先としてよいと思います。
◉ こちらは小児科の先生が執筆された本です。私たち小児科医が外来でよく遭遇する保護者の育児に関する相談・不安にしっかりと答えた本になっていると思います。出産後に少し余裕がでてくると、色々と不安や心配事が増えてきますので、一度読んでみると良いでしょう。