小児科

母斑(皮膚のあざ)とレーザー治療について

  • 皮膚にあざがあるのですが、どうしたらよいですか?
  • レーザー治療はしたほうが良いのでしょうか?
  • どの疾患に適応があるのですか?

など、こどもの皮膚と治療に関する質問をされることが時々あります。

それぞれの疾患で治療は異なりますし、皮膚科の先生でも考え方は多少は異なると思います。
これらを前提に、小児科的に一般的に考えていることを説明していけたらと思います。

『母斑』ってなんですか?

『母斑』は皮膚の奇形を表す言葉です。

遺伝的または胎生的な要因で、神経堤に生じた発生異常(異常増殖)が原因で、皮膚のメラニン細胞や神経のシュワン細胞に分化できなかった、分化能力不充分な細胞によって皮膚の奇形が生じています

 

母斑にある細胞自体は異常ではないのですが、ある特定の細胞数が通常の場合より多かったり少なくなったりするのが原因です。

母斑の種類はたくさんあります

母斑にも数多くの種類があり:

  • 表皮母斑
  • 脂腺母斑
  • 色素性母斑(ホクロ)
  • 蒙古斑
  • 青色母斑
  • 太田母斑
  • 伊藤母斑
  • 血管腫(ポートワイン母斑・苺状血管腫)
  • リンパ管腫
  • 貧血母斑
  • 結合織母斑

とかなりの種類があります。

Dr.KID
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種類が多くて覚えるのも大変…

この中で、レーザーの適応になりうるのは:

異所性蒙古斑・太田母斑・扁平母斑・単純性血管腫・イチゴ状血管腫

あたりです。

早めにレーザーを開始したほうが良いケース

急いで治療を開始したほうがよい例は少ないですが、早めに治療したほうがよいのは:

  • 増大傾向が非常に強い
  • 機能障害が生じそうな場所(目の近くなど)

などがあげられるでしょう。

特に、イチゴ状血管腫(乳児血管腫)などが目の近くにできると視力にも影響するので、早めに治療を受けたほうがよい場合があります。

 

レーザー治療はいつから始める?

もし、早期に開始するのであれば、2歳頃までに最初の治療を終了させます。

2歳以降では力も強くなり、自我も徐々に芽生えてきます。
外来で、小さなお子さんを固定して治療を行うには、患者も医療従事者も非常に大きなストレスがかかるためです。

この時期を過ぎた場合、本人と両親との相談で決定してもらうことが多いです。
小学校高学年以降では、本人もきちんと理解できて治療を行えるため、医師・患者の協力関係がよくなり、治療もスムーズに行えます。

1回で終了できますか?

レーザー治療が1回で終了することはないでしょう。
少なくとも、3回程度は治療を受けることが多いです。

すぐに薄くなりますか?

レーザーによって色素を破壊し、最終的に皮膚によって自然に吸収されるのを待つため、すぐに薄くなるケースは少ないと思います。
軽快するスピードは、あざの色や濃さによってもかなり異なります。
ですので、治療効果がはっきりわかるまで数ヶ月程度要する場合もあります。

また、太田母斑などは、レーザー治療の後に一時的に色が濃くなることもあります。

レーザー治療をしてはいけない母斑ってありますか?

保険の効く母斑であれば、基本的に治療してもよいと考えられます。
しかし、再発率なども十分に理解してから照射するとよいでしょう。

扁平母斑は再発率が高いです

 

上の写真は扁平母斑ですが、再発率が高いと言われています。
さらに、扁平母斑は照射後に濃くなったり、かえって目立つこともあります。
特に、大人の四肢ではこの傾向が強いです。

小児でも同様のことが起こりえるので、担当の皮膚科の先生と、よく相談してから照射を受けましょう。
顔面で、濃いタイプの母斑は治りやすいと言われていますが、丁寧な照射と照射後の遮光も必要です。

Dr.KID
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実際の見通しも担当の先生とよくご相談すると良いでしょう。

レーザー治療はしたほうがよい?

レーザー治療は、絶対的応となるケース以外は、必須の治療ではありません。
ですので、担当の医師と相談をして、十分な説明の後に治療するかどうか、判断しましょう。

注意点としては、

  1. 初めての診察でレーザー治療は行わない
  2. レーザー照射前後の注意事項をよく説明してもらう
  3. 色素沈着などの後遺症の可能性について説明してもらう

などでしょう。 これらを、きちんと相談してくれるクリニック・病院に受診されることをオススメします。

患者さんの相談に真摯に対応してくれないようなクリニックは、ビジネスの側面を優先しすぎているため、注意が必要と思います。

Dr.KID
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信頼できるクリニックを見つけることも大事ですね。

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。