急性咽頭炎ってなに?
『喉(のど)の風邪』は医学用語で『急性咽頭炎』といいます。
急性咽頭炎は、のどの粘膜やリンパ組織に生じる急性の炎症で、原因はほとんどウイルス感染です。
細菌感染で多いのは溶連菌ですが、全体の10%〜20%程度です。
年長児ではEBウイルスによる伝染性単核球症の可能性もあります。
思春期では、クラミジアやマイコプラズマが原因となることもあります。
急性咽頭炎の症状
咽頭炎という名前の通り、のどに炎症が生じます。ですので:
- のどがヒリヒリする
- のどに違和感がある
- のどが痛い
- 飲み込みづらい
- 声がかれる
が一般的な症状です。
喉以外の症状も出ますよ
喉の症状以外にも;
- 咳、痰、鼻水
- 発熱
- 口内炎
などの症状がでることもあります。
特に、口内炎や口の粘膜が荒れている時は、ウイルス感染の可能性がかなり高いです。
また、リンパ節腫脹があったり、EBウイルスやサイトメガロウイルスへの感染の場合、肝脾腫(肝臓や脾臓が大きくなる)を認めることもあります。
溶連菌の特徴を教えてください
溶連菌ものどの風邪の一種ですが、他のウイルスとの鑑別は重要です。
溶連菌には、合併症がありますし、抗菌薬で治療する必要があるからです;
溶連菌の特徴としては:
- 2歳以下はあまり感染しない
- 発熱が急激に起こる
- 咳や鼻水がない
- 頭痛、嘔吐、腹痛を伴う
- かゆみを伴う発疹がある
などが溶連菌の特徴で、他のウイルス性の咽頭炎と区別しています
急性咽頭炎の診断
診断は問診と身体診察で十分です。
特定の細菌やウイルスを疑った場合にのみ:
- 迅速検査(溶連菌、アデノウイルス)
- 咽頭培養
- EBウイルスやサイトメガロウイルスの抗体検査
を行います。
急性咽頭炎の治療について
基本はウイルス感染ですので、特効薬はありません。
『抗生物質を処方してください』
と頼まれることもありますが、溶連菌と判明しない場合、基本は処方していません。
抗生剤はウイルスには効きませんので、溶連菌以外の喉の風邪は抗生物質は不要です。
喉の風邪で気をつけること
治療の基本はいわゆる対症療法で様子をみます:
- 激しい運動は避けて、安静にする
- しっかりと水分をとる
- 室内の乾燥はさけて、適切な湿度を保つ
- 発熱して辛ければ解熱剤を使用する
などが対症療法にあたります。
急性咽頭炎の合併症ってありますか?
基本は合併症は起こらず、自然に良くなります。
乳幼児の場合、中耳炎を起こす場合があるので、耳が痛くないかは気をつけてもよいでしょう。
2週間以内に治まることがほとんどです。
こんな症状に気をつけましょう
喉の風邪とはいえ、こじらせると合併症が起こることもあります。例えば;
- 発熱が長引く(5日以上)
- 食事・水分が全然とれない
- 不機嫌がずっと続く、全然眠れなかった
など、のどの風邪にしてはおかしいな、と思ったら、再度、小児科へ受診されるとよいでしょう。
稀な合併症として、扁桃周囲膿瘍、顎下膿瘍(Ludwig angina) 、Lemierre 症候群などがあります。