風邪(かぜ)のポイント
分かっているようで分かっていない、こどもの風邪についてまとめてみました;
- 風邪はくしゃみ、鼻水、咳、喉の痛み、発熱などが特徴です
- 原因はウイルス感染症がほとんどで、抗生剤は効きません
- 風邪の特効薬はありません
- 安静と対症療法で自然に軽快することがほとんどです
風邪ってなんでしょう?
こどもたちはよく風邪をひきます。
風邪をひくと、病院やクリニックで診察をうけさせ『これは風邪ですね』と言われ、ほっと安心する保護者の方も多いでしょう。
風邪とは?
風邪は医学用語で『急性上気道炎』といいます。
上気道は、のど・鼻ですから、 風邪は『急にのど・鼻に炎症が生じている状態』といえます。
症状として代表的なのは;
- 鼻水・くしゃみ・鼻づまり
- 咽頭痛・頭痛
- 発熱
などがあげられます。
風邪による発熱はどの程度続きますか?
熱は数日で軽快することがほとんどで、1週間以上続くことは少ないです。
咳・鼻汁だけれであれば、それほど焦って頻回に受診する必要がないケースが多いです。
鼻水や咳はどのくらい続きますか?
鼻水や咳は発熱から遅れて出てくることもあります。
鼻水は最初は透明なことが多いですが、徐々に緑色になってくることが多いです。
これは、壊れたウイルスや免疫細胞の断片が多くなるためと考えられています。
咳は徐々に悪化し、ひどいときは夜に起きてしまうこともあります。
鼻汁は約2週間前後で治ることがわかっていますが、咳は長いと1ヶ月くらい続くこともあります。
風邪の原因は何でしょうか?
風邪の原因はウイルス感染が80-90%とほとんどです。
原因ウイルスとして多いのが;
- ライノウイルス
- コロナウイルス
- パラインフルエンザウイルス
といったウイルスです。
時に、溶連菌、マイコプラズマ、クラミジアといった細菌が悪さをしていることはありますが、頻度は多くありません。
特に集団生活を始めたばかりのお子さんは、これらのウイルスにかかりやすいため、風邪を繰り返してしまうことがあります。
風邪を治す薬はない
風邪に対する特効薬はありません。
これは、風邪はウイルス感染症であり、ウイルスに効果があるお薬は限られているためです。
薬が必要なケースは多くありません
インフルエンザや水痘は例外で、特効薬があります。
例えば、インフルエンザにはタミフルがありますし、水痘にはアストリックスやゾビラックスという抗ウイルス薬はあります。
しかし、風邪のウイルスには特効薬はないのです。
風邪に抗生剤は効きませんよ
風邪と診断したのに保護者から『抗生剤を出して下さい』とお願いされることがあります。
しかし、抗生剤は風邪には効かないので、基本的には不要です。
抗生剤が効くのは、風邪の原因となるウイルスではなく、 溶連菌などの一部の細菌だけなのです。
このため、風邪は自分の免疫力で治すしかありません。
風邪の治療について
風邪に抗生剤は不要ですが、体の回復をサポートしてあげるような薬を、本人のニーズに合わせて処方しています。
例えば、咳がひどくて眠れないようなら咳を和らげる薬を、 発熱で辛いなら解熱薬を出してもらうとよいでしょう。
代表的な風邪の薬
以下に代表的な風邪薬を列挙します。
- アスベリン:咳を和らげる
- ムコダイン(カルボシステイン):痰きり
- ムコソルバン(アンブロキソール):痰きり
- トランサミン:喉の炎症を抑える
- ビオフェルミン・ミヤBM: 整腸剤
- カロナール・コカール(アセトアミノフェン):解熱薬
あたりでしょう。
かぜ薬は何のために?
かぜ薬は基本的に特効薬ではないです。
つまり、風邪は薬を飲まなくても治りますし、薬を飲んだからといって早く治るわけではありません。
お子さんの症状を和らげるだけの薬と理解してください。
『早めの受診』≠『早期軽快』
『咳と鼻水が出始めて、悪化するといけないと思い、早めに受診しました』
と言われる保護者の方がいます。
気持ちはとてもよく分かるのですが、軽い咳と鼻水だけなら、早めに受診しても、しなくても、風邪の症状の期間はほぼ変わらないでしょう(風邪には特効薬はありませんから)。
抗生剤はどのような時に処方してもらえば良いですか?
『風邪に抗生剤は不要』と散々いってきましたが、抗生剤が必要な時は、もちろんあります。
基本的なルールは『きちんとした診断をされて、抗生剤を始めましょう』です。
風邪をこじらせると一定の確率で、中耳炎、肺炎・気管支炎になることがあります。
あるいは風邪と思っていたが、実は溶連菌・マイコプラズマ肺炎だったということはあります。
『一応、抗生剤を飲んでおきましょうか』とか『一応、出しておきますね』 と曖昧なことをいって処方する医師もいるので注意しましょう。
『先生の診断はなんでしょうか?』と尋ねてみてもよいと思います。