肘内障(ちゅうないしょう)のポイント
- 肘内障(ちゅうないしょう)は、乳幼児が手を引っ張られるとなります
- 手に痛みを訴え、動かそうとしないことが多いです
- 治療は、徒手整復が一般的です
- 再発は5%くらいで起こります
Dr.KID
意外と知られていない肘内障について解説します。
肘内障ってなんですか?
肘内障は、肘の関節の亜脱臼です。
1歳〜3歳の男児に多く、手を無理に引っ張られると起こります。
1番左が正常な肘です。
肘内障では、真ん中に示すように末梢方向へ引っ張られ、最終的に1番右のように亜脱臼してしまいます。
Dr.KID
前腕を引っ張るとなりやすいです。
どのように診断していますか?
よくある病歴としては
- 『幼児の手を強く引っ張ったら、手を動かさなくなった』
- 『手を引っ張って遊んでいたら、手を痛がっている』
があればかなり肘内障をかなり疑います。
Dr.KID
強く引っ張られると、亜脱臼してしまうことがあります。
診察では、手を回内位にして、肘や手を動かそうとしないのが特徴です。
(下の画像の場合、右腕)
外見上の変形や腫脹を認めません。
レントゲンは不要のことが多いです
典型的な症例ではレントゲンは撮影しません。
肘内障では、レントゲン上は異常を認めないことがほとんどです。
骨折や外傷などとの判断に迷う場合や、徒手整復してみても動かさない場合にレントゲンを撮影します。
治療法について
徒手整復を行います。
片手で肘をおさえて、もう片方で手を回外させて屈曲します。
クリっという音をたてて、整復されることがほとんどです。
おおよそ8〜9割くらいはこの方法で整復されます。
この他にも回内法という別の方法もあります。
また、整復後は固定しないことがほとんどです。
再発は5%くらいで起こりますので、腕を引っ張らないように注意してもらいます。
*一般の方は骨折と肘内障の区別は困難と思うので、自己判断で徒手整復はしないで、整復のできる小児科・整形外科・救急科に受診してください。
肘内障の整復にはコツと慣れといった経験が必要です。
Dr.KID
必ず小児科や整形外科の先生に受診してくださいね。