- 『とびひ』が流行っているって聞いたのですが、なんですか?
- 虫刺され・あせもができたかと思ったら、急にジュクジュクしてきました
- 体のあちこちに、ジュクジュクした発疹ができて、痒がっています
など、皮膚トラブルがメインでご相談を受けることがあります。
今回は、とびひ(伝染性膿痂疹)について、詳しく説明していこうと思います。
とびひ(伝染性膿痂疹)のポイント
- 「とびひ」は医学的に「伝染性膿痂疹」といいます
- 治療の中心は『皮膚の清潔と抗菌薬入りの軟膏』です
- 周りへの感染予防にも気配りしましょう
「とびひ」って何ですか?
「とびひ」は医学用語では、伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)といいます。
擦り傷、虫さされ、汗疹(あせも)、アトピー性皮膚炎などで荒れた皮膚に細菌が入り込むことで起こります。
流行しやすい年齢・季節について
とびひにかかりやすい年齢は6歳以下といわれています。
この時期のお子さんは、皮膚トラブルが多く、ちょっとしたことが原因(例えば汗疹や虫刺され)で、とびひになります。
また、とびひが起こりやすい季節は5〜6月の初夏に多いです。
しかし、初夏でなくてもとびひに患者さんはいますので、あなどれません。
原因菌について
原因菌として代表的なのは;
- 黄色ブドウ球菌
- 溶血連鎖球菌(溶連菌)
です。
健康な皮膚であれば、これらの菌が増殖して皮膚に症状を起こすことは少ないですが、ちょっとした傷や、アトピー性皮膚炎、乾燥肌などをきっかけに、細菌が悪さをすることがあります。
(溶連菌の詳細はこちら↓↓)
一般的に、水疱ができやすいのは黄色ブドウ球菌です。
発疹部位には細菌がたくさん潜んでいて、爪などを介して周囲の皮膚に移ります。
とびひの症状を教えてください
とびひの特徴は;
- 水ぶくれである水疱
- 浸出液をともなう発疹(膿痂疹)
が皮膚にできます。
この発疹には細菌が沢山いるため、搔き壊した際に爪などを介して、周囲の皮膚にも移り、さらに水疱や発疹ができるのです。
個々の発疹や水疱の大きさは異なり、掻いた手からさらに全身に広がっています。
とびひの治療について教えて下さい
治療の基本は3点で;
- 皮膚の清潔
- 抗生剤入りの軟膏
- その他
です。
1.まずは皮膚の清潔が基本
何より、皮膚の清潔が第一に重要です。
シャワーとボディーソープで、しっかりバイ菌を洗い流してましょう。
患部は1日2回以上、洗うのをお勧めしています。
2.抗生剤入りの軟膏について
抗菌作用のある軟膏は、フシジン、バラマイシンなどが一般的でしょう。
ゲンタシンはグラム陽性球菌(黄色ブドウ球菌や溶連菌)には抗菌作用がないため、あまりオススメしません。
抗菌薬入りの軟膏(バラマイシンやフシジンなど)は1日2〜3回ほど塗りましょう。
これらの抗菌薬が皮膚の細菌をやっつけてくれます。
3. その他のポイント
痒みが全身にあり、非常にひどいときは、痒み止め(抗ヒスタミン薬)を処方することもあります。
また、全身に発疹があり、軟膏だけでは対処できないと判断した場合は、抗菌薬の内服治療を行います。
爪を短く切り、掻きむしらないようにしましょう。
かゆみがひどい時は、軟膏を塗った上にガーゼなどで覆ってしまうのもよいと思います。
再受診について
傷の赤みや広がりが悪化するようでしたら、再度受診をして治療方針の再検討が必要と思います。
周りの人への感染予防
家庭でとびひが移ることがあります。
家族内での感染予防には、タオルや衣類などの共用を避けましょう。
さらに、抗生剤入りの軟膏をつけたガーゼを包帯で覆い、患部が他の場所に接触しないようにすると良いでしょう。
保育園やプールについて
- 保育園にいってもいいですか?
- プールに入ってもいいですか?
といった質問を受けることがあります。
お熱がなく、本人が元気なら登園・登校は可能です。
プールについては、皮膚がジクジクしている時は避け、瘡蓋(かさぶた)になるまで、控えたほうがよいでしょう。
黒くかさぶたになれば、プールは可能です。
◎ 夏場はクーラや日差しにより、皮膚は乾燥しやすいです。ローションタイプの保湿剤を使うと、ベトベトしないので快適と思います。乾燥肌を防ぐことで、強い皮膚を作れ、夏の様々な皮膚トラブルを予防できると考えられています。