「この子、生まれて初めて発熱しました」と受診されたとき、小児科医は突発性発疹を疑います。
ひょっとしたら、生後6ヶ月〜12ヶ月くらいで発熱のため受診し、「突発性発疹の可能性がありますよ」といわれることがあるかもしれません。
突発性発疹は、ざっくりというと
- 発熱が4日ほど続き
- 熱が下がってから発疹が出始まることが多い
という疾患です。熱が下がって発疹が出て、初めて診断可能となります。
- 突発性発疹について特徴
- ホームケアや注意点
小児科的にこのくらいのことを知っておけば十分という内容をまとめてみました。
2分ほどで読めると思いますので、お付き合いください。
突発性発疹の特徴
突発性発疹は乳児など、2歳未満の小児に起こりやすいです。
発熱が3日〜5日くらい持続し、解熱前後のタイミングで発疹が全身に出現するのが特徴です。
発疹の出かた
発疹の出る順序は「体幹 → 手足→顔」のことが多いです。
淡い赤色の小さな斑点で、数日間かけて徐々に広がりながら、体中に出現することが多いです。
発疹以外の症状について
突発性発疹と言われると「発熱と発疹だけ」という印象を与えてしまいますが、実はそうとも限りません。
突発性発疹は、下痢・軟便など軽い消化器症状が出ることがあります。
一方、咳・鼻水といった風邪症状は出ないことが多い印象です。
一番注意が必要な合併症は、熱性けいれんでしょう。
非常に稀ですが、脳炎や肝炎、血小板減少症などを起こすことがあります。
熱性けいれんについては、こちらで詳しく解説しています。
突発性発疹の原因
- ヒト・ヘルペスウイルス6型(HHV-6)
- ヒト・ヘルペスウイルス7型(HHV-7)
への感染が原因です。
突発性発疹は2回起こることも
突発性発疹にならない子供もいますが…
このことを「不顕性感染」といいます。
突発性発疹が起こりやすいのは
感染経路は、家族 (父母・兄弟・姉妹)や保育園の児童の唾液を介して感染することが多いです。
- 1歳までに60%〜90%
- 3歳までに100%
が突発性発疹のウイルス(HHV-6やHHV-7)に感染すると報告されています。
突発性発疹の診断
突発性発疹は、基本的に臨床的に診断されます。
つまり、病歴・皮膚の性状を含めて、小児科医が入念に診察し、最終的に診断をします。
特徴的な皮膚の所見と経過ですので、診断に迷うことはそれほど多くありません。
確定診断に特別な検査は不要です。
永山斑について
病初期に『永山斑』と言われる口腔内の所見を認めることがあります。
口蓋垂の根元の両側に認められる粟粒大の紅色隆起です。
皮膚の発疹が出るまえに「永山斑」が見えることがあり、
『ひょっとすると、数日以内に発疹が出るかも』
と予言をして、後日、本当に発疹が出てきて、保護者の方に驚かれることもあります。
臨床診断以外の診断方法について
血液中のウイルスを同定すればいので、ウイルスPCR(遺伝子増幅検査)という手法で検出できます。
ですが、このPCRという検査は限られた施設でしか行えなません。
仮にPCRを使って診断を正確にしても、突発性発疹の特効薬を使用するケースは通常はないため、精査の価値は乏しいと考えています。
また、PCR検査は、保険適応はなく、病院あるいは保護者が自費で検査費用を負担する必要がでます。
突発性発疹の治療法や対処法
なぜなら、突発性発疹はウイルス感染症で、合併症を起こす可能性の低い予後良好な疾患だからです。
基本は対症療法
脱水・熱性痙攣に気をつけましょう
ミルク・母乳・水分の摂取がしっかりできているか注意しましょう。
まとめ
突発性発疹は…
- 6ヶ月〜3歳までに起こりやすく
- 数日の発熱と、その後の発疹が特徴
(最初は見分けがつかないことも) - 治療は対症療法が中心
- 熱性けいれんには注意が必要
Dr. KID