今回は小児のかぜ症状とクレマスチン(タベジール®︎・テルギンG®︎)とクロルフェニラミン(クロダミン®︎・アレルギン®︎・ネオレスタミンコーワ®︎)の有効性を認めた研究をみていこうと思います。
*クレマスチンもクロルフェニラミンも第一世代の抗ヒスタミン薬になります。
今回の研究も1990年に出版された古い研究で、タイのジャーナルということもあり、文献の入手が困難でした。
コクランデータベースの記載から、可能な限りの情報を集めて説明していこうと思います。
研究の方法
今回の研究はタイで行われた他施設共同のランダム化比較試験になります。
- 5歳未満
- 鼻水をはじめ、かぜ症状のある小児
を対象に研究が行われています。
アウトカムの評価について
アウトカムの評価は、
- 3日以内の鼻水量
- 鼻粘膜の浮腫
- 7日目で鼻水がない
の3点をみています。
研究結果と考察
合計で143名のかぜの小児が研究に参加しました。
クレマスチンは48名、クロルフェニラミンは48名、プラセボ(偽薬)は47名になります。
3日以内の鼻水の量
3日以内に鼻水の量が改善したこどもの割合を3グループで比較しています。
クレマスチン | クロルフェニラミン | プラセボ | P |
28/48 | 25/48 | 22/47 | 0.530 |
(58.3%) | (52.1%) | (46.8%) |
3つのグループでは統計学的な有意差を認めませんでした。
そのほかのアウトカム
コクラン・データーベースのほうにはP値しかもっていませんでしたが、
- 鼻粘膜の浮腫は有意差なし(P = 0.53)
- 7日目の鼻症状は有意差あり(P = 0.015)
とされ、7日目の鼻症状は抗ヒスタミン薬を使用したグループのほうが少なかったようです。
考察
こちらの論文に関して、コクランを含め他の文献からの評価を読む限りでは、バイアスのリスクは少なく、研究の質も高いとされていました。
今回の論文からですと、抗ヒスタミン薬は小児のかぜによる鼻水は3日という短期では有効性が確認できなかっただ、7日では鼻の症状を改善させるかもしれない、という結果でした。
よく言えば1週間という長めのスパンをみれば無投薬より鼻水の症状はマシ。悪く言えば、鼻水をどうにかしたくても薬を飲んで2−3日では効果が望めない、とも解釈できます。
まとめ
「鼻水止め」と言われることもある抗ヒスタミン薬ですが、かぜの症状が強い時に飲んでも、思ったほど鼻水が止まらないのでしょう。
有効性が皆無というわけではなさそうですが、効果が確認できるのは1週間ほど様子をみないといけないため、かぜで使用すべきかはやや疑問です。
あと、薬を使用するべきか否かは副作用とのバランスにもよります。
残念ながら特に第一世代の抗ヒスタミン薬は副作用が多く、悪名高い薬でもあります。
このあたりは、またの機械にお話をしていきます。
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