- 「気管支拡張薬って何でしょうか?」
- 「気管支拡張薬はどんな時に処方されてますか?」
とひょっとしたら気管支拡張薬と聞いてもピンとこない方も多いかもしれません。
小児によく処方されるものとして、ホクナリンテープ®︎・ツロブテロールテープ®︎などがあります。
よく勘違いされているのですが、これらのテープ類に咳を止める直接的な効果はなく、気管支を拡張させる効果がメインです。
本記事では以下の点を解説していこうと思います
- 気管支拡張薬の作用機序(メカニズム)と副作用
- 気管支拡張薬を含む処方薬と市販薬
大人と子供で特に作用機序が変わるわけではありませんが、処方の傾向や対象とする疾患が多少異なりますので、小児科的な視点からお話できればと思います。
気管支拡張薬について
気管支拡張薬とはその名の通り、狭くなった気管支(空気の通り道)を拡張させる薬ですが、
- β刺激薬
- テオフィリン薬
- 抗コリン薬
の3種類があります。
小児では気管支喘息(ぜんそく)に対してβ刺激薬が用いられることが圧倒的に多いです。
β刺激薬の作用機序(メカニズム)について
- 「β刺激薬って何でしょうか?」
と疑問に思われる方も多いと思います。
まずβ刺激薬についてですが、身体にあるβ受容体を刺激する薬を意味します。
さらに、β受容体にもいくつか種類があり、代表的なものは2つで
- β1受容体:心臓
- β2受容体:気管支
に多く分布しています。
例えば心臓にあるβ1受容体を刺激すると心拍数が増えたり、心臓が収縮する力が強くなります。
一方で、気管支に存在するβ2受容体を刺激すると、気管支平滑筋が弛緩してくれるため、気管支が拡張します。
β刺激薬と喘息について
喘息では気管支平滑筋が収縮したり、炎症を起こしたりして、空気の通り道が狭くなり呼吸がしづらくなります。
このため、β2受容体を刺激することで気管支が拡張し、空気の通り道を広げて症状を軽快させています。
β刺激薬の副作用について
一方で、薬によってはβ2受容体だけでなくβ1受容体を刺激してしまうことがあるため、心臓が刺激されて心拍数が早くなり動悸が起こることがあります。
近年はβ2受容体を選択的に刺激する薬もあり、動機などの副作用は出づらくなっています。
しかし、振戦(手足の震え)などはβ2受容体を介して起こるため、副作用として現れてしまうことがあります。
気管支拡張(β刺激)薬:処方薬と市販薬
ここからはβ刺激薬を含む処方薬と市販薬を中心に解説していきます。
(*吸入薬はほとんどが喘息のお子さんを中心に処方されているので、今回は風邪薬について解説しているため省略させていただきます)
β2刺激薬(処方薬)
まずは処方薬を見ていきましょう。
一般名 | 商品名 |
サルブタモール | ベネトリン®︎ サルタノール®︎ アイロミール®︎ |
テルブタリン | ブリカニール®︎ |
フェノテロール | ベロテック®︎ ポルボノール®︎ モンブルト®︎ |
プロカテロール | メプチン®︎ エステルチン®︎ エプカロール®︎ プロカテロール®︎ |
ツロブテロール | ホクナリン®︎ ベラチン®︎ |
クレンブテロール | スピロベント®︎ トニール®︎ |
ホクナリン®︎やツロブテロールはテープでよく処方されているようですね。
β2刺激薬(市販薬)
成分名をこちらで検索をかけてみましたが、該当薬はありませんでした。
と思っていたら、Twitter上で教えていただきました!クスリ早見帖(@hayamichou)
小児で使える市販薬ではトリメトキノールとメトキシフェナミンを含む製品があります。
- アスクロン®︎:8歳以上
- 新トニン咳止め液®︎:12歳以上
まとめ
気管支拡張薬の作用機序(メカニズム)と副作用について、簡単に説明してきました。
さらに、気管支拡張薬を含む処方薬と市販薬についても、ご紹介しています。
次回からは、実際にこれらの薬が小児のかぜに科学的根拠のある薬なのかを詳しく検証していこうと思います。