小児で使用する解熱剤で昔から使用されているものは、
- アセトアミノフェン(カロナール®︎、コカール®︎)
- イブプロフェン
の2つがあります。
一般的にアセトアミノフェンよりイブプロフェンのほうが解熱効果は強いと考えられていますが、実際に確認した研究がありましたのでご紹介させていただきます。
研究の方法
今回の研究は、
- 2〜12歳の小児
- 発熱のため救急外来に受診
- 体温は38.3℃以上
- 基礎疾患なし
- 8時間以内に解熱剤を使用していない
を対象に研究が行われました。対象者には、
- イブプロフェン
- アセトアミノフェン
- プラセボ
のいずれかをランダムに割り付けています。
アウトカムの評価
体温は解熱薬使用30分前から開始し、使用後8時間後まで計測しています。
研究の結果と考察
最終的に37人の患者が参加しました。治療の内訳は以下の通りになります。
- イブプロフェン (7.5 mg/kg): 12人
- イブプロフェン(10 mg/kg):8人
- アセトアミノフェン(10 mg/kg):8人
- プラセボ:9人
患者背景は以下の通りになります:Tableは論文より拝借
解熱薬使用後の熱の推移
こちらが解熱薬を投与してからの熱の推移を見ています。
特徴として、
- 解熱薬を使用して2時間くらいかけてゆっくり下がる
- 2ー4時間くらいが解熱効果のピーク
- 5時間くらいから、徐々に元の体温に近づく
という傾向にありました。
Area Under the Curve(AUC)
著者らはAUCも計算して、薬の有効性を比較しています。
AUCは例えばアセトアミノフェンですと、上の図のようになります。この面積を計算して、それぞれの薬の有効性を確認しています。
薬 | AUC |
プラセボ | -67 |
アセトアミノフェン | 328 |
イブプロフェン (10 mg/kg) | 590 |
イブプロフェン (7.5mg/kg) | 730 |
となっています。
AUCの比較でも、アセトアミノフェンはプラセボよりは有効ですが、イブプロフェンよりは効果が低いと言えそうです。
感想と考察
今回の研究結果は過去のものと類似しており、特別驚くような内容ではありませんでした。
しかし、実際に解熱剤を使用して、発熱がどのように推移していくのかは、非常に参考になると思いました。
実臨床で、保護者の方々に説明する時に使えそうな内容です。
一方で、今回の研究は2ー12歳のものです。
おそらく2歳未満のお子さんでも類似の熱の推移になるとは思いますが、ひょっとしたらこれより弱く出るかも、あるいは強い解熱効果として出るかもしれません。
これは実際に研究をしてみないとわからない面もあるでしょう。
まとめ
今回の研究では、2ー12歳を対象に、プラセボ・アセトアミノフェン・イブプロフェンの3剤での解熱効果を確認しています。
これまでの過去の研究と同じく、解熱効果はアセトアミノフェンよりイブプロフェンの方が強そうな印象です。
また、アセトアミノフェンは「弱い解熱剤」と言われることもありますが、薬を飲まないより解熱効果は確実にありそうです。