- 小児でよく処方されるトラネキサム酸(トランサミン®︎)ってなに?
- 小児のかぜに有効性があるのか?
- のどの炎症や痛みを軽減させてくれるのか?
といった点を明らかにするために、これまで複数回にわたり記事を書いてきました。
ここで簡単に記事の内容をまとめておきましょう。
- トラネキサム酸(トランサミン®︎)について
- 過去の研究結果の要約
トラネキサム酸(トランサミン®︎)シリーズの簡単なまとめを記載していきます。
詳しいまとめはnoteに記載しますのでそちらをご参照ください。
トラネキサム酸(トランサミン®︎)とは?
トラネキサム酸(トランサミン®︎)は、1962年に岡本彰祐と岡本歌子により日本国内で開発されました。
日本ではトランサミン®︎などの商品名で販売され、また現在はジェネリック医薬品も複数存在します。
トラネキサム酸の効能ですが、
- 止血剤(抗線溶薬):外傷後や手術後の出血予防や
- 抗炎症作用:かぜ、咽頭炎、口内炎
が代表的です。
抗炎症作用として喉の痛みを緩和することは出来るかもしれませんが、発熱そのものを抑える作用はないと考えられます。
トラネキサム酸を含む処方薬
トラネキサム酸というとトランサミン®︎が馴染み深いですし、お子さんに処方された方も沢山いると思います。トラネキサム酸の商品名として、
- トランサミン®︎
- ヘキサトロン®︎
- ラノビス®︎
- リカバリン®︎
- プレタスミン®︎
などがあります。
かぜにおけるトラネキサム酸(トランサミン®︎)の有効性
こちらの研究は1990年に、国内で行われた研究です。
かぜで受診をした7〜14歳の小児の症例集積になります(20名)。
トラネキサム酸(トランサミン®︎)の使用前と使用後5日間で症状の推移をみて、有効性を検討しています。
しかしながら、こちらの研究は
- (かぜは自然に治るため)自然軽快なのか
- 本当に薬の有効性か
といった疑問には答えられていません。
成人の喉のかぜとトラネキサム酸(トランサミン®︎)1
こちらは成人で行われた研究になってしまいますが、トラネキサム酸(トランサミン®︎)が大人の喉のかぜに有効かどうかを検証しています。
こちらの研究ではランダム化比較試験を行っています。結果としては、
- 3日後では治療効果なし
- 5日後では治療効果あり
としています。
しかし、追跡不能が多い、統計学的な検定方法にやや疑問が残るため、必ずしも有効性があるとは限らない結果でした。
成人の喉のかぜとトラネキサム酸(トランサミン®︎)2
こちらの研究は、1967年〜1968年に、15歳以上の成人を対象に行われた研究です。
咽頭炎、口内炎では有効性がありそう、扁桃炎は有効性はなさそうな印象でした。
こちらの研究でも、治療効果はあくまで診察者や患者さん本人の主観を数値化してものですので、不確実性が残りますし、臨床的に定量的にどのくらい効くのかわかりづらい結果でした。
7歳以上の喉のかぜとトラネキサム酸(トランサミン®︎)3
こちらの研究は7歳以上を対象にトラネキサム酸(トランサミン®︎)の有効性を検討しています。
咽頭痛や口内炎、喉の所見などを評価していますが、トラネキサム酸は咽頭炎・扁桃炎・口内炎などに有効性があるのかもしれない、という結果でした。
こちらの研究も、上に記載したものと同様に、「有効性」の意味がやや曖昧なのが残念です。
まとめ
トラネキサム酸のまとめですが、
- 研究の質は低いが7歳以上の咽頭炎や口内炎には有効かも
- 7歳未満の有効性は未確認
- 「有効性」のより詳細な検証(どの症状の、どのくらい効くかなど)は今後も必要
といえそうな結果でした。