今回の研究は、2004年に発表された、トルコで行われたプロバイオティクスと小児の下痢の研究です。
これ以前の研究では、プロバイオティクスというと、
- Lactobacillus GG
- Lactobacillus reuteri
- Lactobacillus rhamnosus
あたりが有名どころで、Saccharomyces boulardii (S. boulardii)は研究されたデータが少ないようです。
そこで今回の研究が行われたようです。
研究の方法
今回の研究はトルコで行われ、対象となったのは、
- 3ヶ月〜7歳
- 3回以上の下痢
- 入院患者
- 7日未満の下痢
- 慢性疾患なし
あたりが対象となっています。治療は、
- プロバイオティクス:S. boulardii
- プラセボ
のいずれかをランダムに割付ています。
アウトカムは、
- 下痢の期間
- 水様性下痢の期間
- 嘔吐の期間
- 発熱時間
- 入院日数
を見ています。
研究結果と考察
最終的に200人が参加し、患者の特徴としては、
- 月齢は40ヶ月ほど
- 男児が6割ちょっと
- ロタウイルス感染が4割
でした。
研究結果は以下のようになります:
S. boulardii N = 100 |
プラセボ N = 100 |
|
下痢の期間 | 4.7日 (2.5) |
5.5日 (3.2) |
水様性下痢の期間 | 2.8日 (1.1) |
3.8日 (1.4) |
嘔吐の期間 | 1.2日 (1.0) |
1.3日 (1.0) |
発熱の期間 | 1.0日 (0.8日) |
1.1日 (0.9日) |
入院日数 | 2.9日 (1.2) |
3.9日 (1.5) |
プロバイオティクスを使用したグループの方が下痢の期間は1日弱ほど短く、入院日数も1日ほど短い傾向にありました。
下痢の改善の効果を実感できたのは、治療開始して2−3日後の方が多かったようです。
考察と感想
割とこれまでの研究結果と類似していましたので、特に大きな違和感を感じることはありませんでした。
あえていうとすると、この研究をロタウイルス性とそれ以外に分けた場合の治療効果の違いを見たかったですね(サブグループ解析)。
過去の研究はロタウイルスをターゲットにして、有効性を示唆したものが多いです。
まとめ
今回の研究は、S. boulardiiというプロバイオティクスが、小児の下痢の期間などに有効かを検討しています。
対象となった集団の4割ほどはロタウイルス胃腸炎でしたが、プロバイオティクスは有効そうな印象でした。