ロペラミドは小児の下痢の量や期間を短くする可能性はあるものの、少数の患者で副作用が生じる懸念があります。
こちらの研究では、約200人ほどの患者において、ロペラミドの有効性と安全性を評価しています。
研究の方法
今回の研究は、
- 3ヶ月〜18ヶ月の小児
- 下痢による脱水で入院
- 慢性疾患がない
- イレウスやショックなど重篤な状態ではない
を対象に行われました。
治療について
治療は脱水の補正に加えて、
- ロペラミド
- プラセボ
のいずれかを投与されています。
アウトカムについて
アウトカムは、
- 下痢の期間
- 治療の失敗率
などをみています。
研究結果と考察について
最終的に185人が解析対象となり、
- ロペラミド:91人
- プラセボ:94人
でした。月齢はおよそ8ヶ月で、治療前の下痢の期間は2日でした。
アウトカムについて
まずは入院日数を比較していますが、
- ロペラミド:34時間(14-72)
- プラセボ:36時間(16-72)
と両グループで変化はありませんでした。
治療の失敗についてですが、治療開始後72時間後も点滴が必要な状態と定義しています。結果は、
- ロペラミド:13/91
- プラセボ:10/94
とほぼ同等の結果でした。
副作用について
イレウスなどの重篤な副作用はどちらのグループも認められませんでした。
感想と考察について
今回の研究では、小児の下痢で入院が必要であった患者にロペラミドを投与しましたが、入院日数の短縮や治療の成功率をあげる効果はなさそうでした。
これまでの研究は下痢の期間や、下痢の量といった点に注目していましたが、こちらの研究は入院日数であったり、点滴を終了できるか否かといった実用面をメインにみた研究です。
前者については有効性はあるのかもしれませんが、入院日数や点滴など実用面での有効性がない点から、臨床上で実感できるような効果は少ないのかもしれません。
安全性についてはイレウスなどの副作用の検討をしていますが、そもそも稀な現象ですので、この規模の研究では検出できなかったのかもしれません。
腹痛や腹部膨満、嘔吐などといった別のアウトカムがどうだったのかは気になるところです。
また、「稀」というのが、どのくらい稀なのかも気になりますね。これは他の研究結果をみる必要がありそうです。
まとめ
今回の研究は南アフリカにて、乳幼児の下痢に対するロペラミドの有効性を検討しています。
ロペラミドを使用しても入院日数や72時間後の点滴の終了率はかわらなそうな印象でした。
安全性と副作用については、もう少し大きな規模でないと、検出は難しいと思います。