乳幼児が気道感染症に罹患し、ゼーゼーと喘鳴が出るときには、軌道にcysteinyl-leukortieneが上昇している可能性があります。
これをモンテルカストなどロイコトリエン拮抗薬でブロックしてしまえば、喘鳴が改善するのではないかと考え、ランダム化比較試験(RCT)が行われました。
研究の方法
今回の研究は、ランダム化比較試験(RCT)で
- 3〜36ヶ月
- 喘鳴のある
- 酸素需要が必要
- 慢性疾患なし
などを対象に行われました。
治療は、
- モンテルカスト
- プラセボ
のいずれかをランダムに割りつけています。
アウトカムは、
- 症状のない日
- 7日後の症状の有無
- 症状スコア
などを比較しています。
研究結果と考察
100人がランダム化されていますが、途中でドロップアウトとなった症例が多数あり、最終的にモンテルカスト 30人、プラセボ32人が解析対象となっています。
特徴として、
- 12ヶ月前後
- 6割が男児
- 体重は10kg
- 身長は74cm
- 出生体重 3100-3200 g
などです。
治療開始〜7日までのアウトカム
まずは最初の7日間でのアウトカムを比較してみましょう。
M | P | |
症状のない日 | 1 (0.3) |
0.4 (0.2) |
症状のない日の割合 | 13.8% (4.1) |
5.4% (3.4) |
7日目の喘鳴 | 0.5 (0.1) |
1.4 (0.2) |
β刺激薬吸入回数 | 12.7 (1.8) |
19.2 (1.6) |
症状スコア | ||
7日目 | 2.4 (0.6) |
4.1 (0.7) |
最初の1週間 | 32.3 (4.4) |
35.3 (3.4) |
最初の1週間に関しては、症状のない日の割合が増え、β刺激薬の使用が減り、症状スコアが軽快する傾向にありました。
〜56日目のアウトカム
56日間でのアウトカムを比較してみましょう。
M | P | |
症状のない日 | 25.1 (3) |
26.3 (3) |
症状のない日の割合 | 44.8% (5.3) |
46.9% (5.4) |
症状スコア | ||
56日目 | 110.2 (18.9) |
139 (29.2) |
56日間という長いスパンでみると、あまりメリットがないか、あっても少しというところでしょうか。
考察と感想
モンテルカストは、3〜36ヶ月の乳幼児の気道感染症による喘鳴に対して、1週間という短期的には症状を和らげたり、吸入薬の使用頻度を減らす効果がありましたが、長期的にはあまりメリットがなさそうな結果でした。
気になる点としては、ドロップアウトされた患者が多い点でしょうか。4割近くがドロップあうとしています。
もちろん、大量のドロップアウト=選択バイアス、とは限りませんし、ドロップアウトした人のアウトカムの予測因子がモンテルカストグループとプラセボグループで異なるなどの条件がなければ、選択バイアスとはなりません。
この点について、IPWなどで解析し直したり、limitationで詳しく言及したりがない点に少し違和感を感じました。
まとめ
今回の研究では、モンテルカストは、3〜36ヶ月の乳幼児の気道感染症による喘鳴に対して、1週間という短期的には症状を和らげたり、吸入薬の使用頻度を減らす効果がありましたが、長期的にはあまりメリットがなさそうな結果でした。
ドロップアウトがやや多いのと、統計学的な検出力が不十分な印象もあり、他の研究結果も参考にする必要があると思います。
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