急性細気管支炎は乳幼児で、RSウイルス感染時に起こることがあります。
細気管支炎を起こすと、ヒューヒュー、ゼーゼーといった喘鳴の症状が出ます。
病態は気管支喘息とやや異なりますが、細気管支炎後に喘鳴が再発しやすいのは知られています。この再発に対して、喘息の長期管理薬であるモンテルカストが有効かどうか検討した研究はいくつかあり、今回もご紹介させていただきます。
研究の方法
今回の研究は、乳幼児を対象に、2005-2007年に韓国でランダム化比較試験がされました。
対象は
- 生後6〜24ヶ月
- 細気管支炎の診断で入院が必要
- 基礎疾患なし
- RSウイルス細気管支炎の既往なし
などを参考に、乳幼児が選ばれました。
治療は、
- モンテルカスト
- プラセボ
のいずれかをランダムに割りつけています。
アウトカムは、
- EDN: eosinophil-derived neurotoxin
- 喘鳴の回数
などをみています。
研究結果と考察
最終的に150人が研究の解析対象となり、モンテルカストは79人、プラセボは71人でした。患者背景の特徴は、
- 月齢 13〜15ヶ月
- 男女比3:2
- アトピーの家族歴 40%
- アトピーの既往 15%
でした。
EDNについて
血清のEDNを比較しています。
(黒, モンテルカスト; 灰色, プラセボ)
EDNに関しては、最初は似たような値でしたが、3ヶ月以降は低値となっています。
喘鳴の再発について
喘鳴の再発についても検討しています。累積の再発回数を評価していますが、モンテルカストを使用したほうが喘鳴の再発率が低い印象でした。
考察と感想
今回の研究は韓国の乳幼児を対象に、急性細気管支後の入院患者にモンテルカストを使用して、その有効性を評価しています。
結果として、モンテルカストを使用したほうが、EDNの値が低く、喘鳴の再発回数もやや少なく(0.5回ほど)なっている印象です。
少し悩ましい結果ですね。再発する喘鳴の回数は12ヶ月で2回未満の患者が多く、薬を使ったとしても0.5〜1回ほどしか喘鳴の再発率を減らしていないので、この点をどう考えるかは読んだ人によって異なる印象です。
また、繰り返しになりますが、effect measure modificationについてです。細気管支炎後のロイコトリエン拮抗薬の有効性の論文をいくつか読みましたが、効きやすい人とそうでない人がいる印象です。このあたりをどうするかは、今後の課題かもしれないですね。
まとめ
今回の研究は韓国の乳幼児を対象に、急性細気管支後の入院患者にモンテルカストを使用して、その有効性を評価しています。
結果として、モンテルカストを使用は、臨床的には1年間で喘鳴の再発回数をわずかに減らす効果があるかもしれませんが、臨床的な意義について慎重に解釈したほうがよいです。