今回はシステマティック・レビューとメタ解析の紹介です。
乳幼児が急性上気道炎(かぜ)や細気管支炎の際に咳が長引くことがありますが、こちらにモンテルカスト(キプレス®︎やシングレア®︎)やプランルカスト(オノン®︎)といったロイコトリエン受容体拮抗薬が有効であるのかを調査しようとした研究があります。
このコクランのシステマティックレビューとメタ解析では、ロイコトリエン受容体拮抗薬が小児の長引く非特異的な咳に有効かを検討しています。
研究の方法
- CENTRAL
- Embase
- MEDLINE
などのデータベースから、小児の長引く咳にロイコトリエン拮抗薬が有効であったかを検討したランダム化比較試験を網羅的に検索しています。
研究結果と考察
最終的に2つの研究が対象となりました。
こちらは2〜5歳を対象にした研究で、喘息のような症状のある幼児にモンテルカスト or プラセボを投与して症状の改善をみています。
研究の問題点としては、グループ内の前後比較は全てしているのですが、グループ間の比較はしたり・しなかったりと、一貫性がありませんし、その基準が明確でないく、解釈に困ってしまいました。
こちらの研究は、6ヶ月〜24ヶ月の乳幼児を対象に行われました。咳という直接的なアウトカムは計測しておらず、上気道の症状、投薬の回数などが指標にされています。
結果として、メタ解析をすることはできず、小児の非特異的な慢性咳について有効性は不明のままで、現時点では推奨できない旨を記載しています。
With the lack of evidence, the routine use ofLRTA in treating children with non-specific cough cannot be recommended.
著者らもこんな感じで表現されていますね。
感想と考察
ロイコトリエン受容体拮抗薬は小児でもよく使用されていますが、気管支炎やひどい場合には風邪でも処方されているケースもあります(小児喘息には科学的根拠がしっかりと確立されています)。
日本国内での処方実態ははっきりとは分かりませんが、咳止めと勘違いしているのではないかと感じてしまう処方を見かけることもありますし、保護者の方からも「咳止め」として処方して欲しい旨を告げられることもあります。
このあたり、有効性をきちんと評価しておきたいところですね。
まとめ
システマティックレビューとメタ解析では、ロイコトリエン受容体拮抗薬が小児の長引く非特異的な咳に有効かを検討していますが、メタ解析可能な過去の研究はないのが現状です。
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