今回は4回にわたって説明してきた因果媒介分析(causal mediation analysis)のまとめを記載していこうと思います。
Causal Mediation Analysisの一般的な概念、記載方法と定義、必要な前提から、数式の組み立て方、そしてmediatorが2つ以上ある場合の計算方法などを言及しています。
(2024/11/21 08:59:57時点 Amazon調べ-詳細)
概要と前提条件について
こちらの記事では、Causal Mediation Analysisの一般的な概念、記載方法と定義、必要な前提について記載しています。具体的には、
- Mediation(媒介)とInteraction (相互作用)について
- Nested Counterfactualの書き方
- 解析に必要な前提条件
について記載しています。
Decompositionについて
Decompositionとは分解を意味します。治療が媒介因子を介してアウトカムに与える影響を、複数の経路に分解することをcausal mediationでは行いますが、その基本的な概念について解説しています。
基本は4-way decompositionになり、これは
- Controlled Direct Effect
- Reference Interaction Effect
- Mediated Interaction Effect
- Pure Indirect Effect
の4つに分解できます。この4つの組み合わせで
- 2-way decomposition
- 3-way decomposition
と応用していくことができます。
このdecompositionに関して、数式的な証明も簡単に解説していきます。
Empirical Analogueについて
Causal Mediation Analysisの理解には、nested counterfactualの理解が必須ですが、これだけでは実践できません。
Nested counterfactualというpotential outcomeのフレームワークを、実際の数式に落とし込む作業を解説したのがこちらの記事です。
具体的には、こちらのような数式を扱っています
- E(Yx)
- = ΣcE(Y|x, c) P(c)
- = ΣmΣcE(Y, m|x, c) P(c) *Law of probability
- = ΣmΣcE(Y|x, m, c)P(m|x, c) P(c) *Law of probability
- = E(YxMx)
媒介因子(Mediator)が2つ以上ある場合
これまでは媒介因子が1つの場合のcausal mediation analysisを解説してきました。
しかし、媒介因子は1つとは限らず、2つ以上のこともあります。
こちらの記事では、2つ以上ある場合にどのように分解していくかを解説しています(案)。
具体的には以下のような状況です(LとMがmediator)
理論上はcounterfactualのフレームワークで解決できそうですが、potential outcome languageをempirical analogueに持ち込めるのかという点が私の中でもはっきりとしないのもあります。
疫学の方法論者のトップランナーに会った時に聞いてみようと思います。
まとめ
Causal Mediation Analysisについての解説のまとめです。まだ書き足りないことがあり、今後、記事を増やしていくかもしれませんが、一旦、まとめ記事にさせていただきました。
比較的、新しい手法かもしれませんが、これから徐々に普及していく可能性は大とみています。現に、私も先日、こちらの手法を利用して論文を投稿してアクセプトをいただきました。
Causal Mediation Analysisを本格的に勉強したい方は、以下の書籍がオススメです↓
(2024/11/21 08:59:57時点 Amazon調べ-詳細)