気管支喘息のある方は、かぜなどを契機に悪化して発作が起こってしまうことがあります。かぜが契機の場合、おそらくウイルス性と思われるため、抗菌薬を使用するメリットは少ない印象があります。
とはいえ、マイコプラズマやクラミジアといった細菌感染でも発作が起こることがあります。さらに、肺炎球菌のキャリアが多いこともあるようで、抗菌薬の投与に全く意義がないと考えてしまうのは安易すぎるのかもしれません。
かつて、喘息患者を対象にテリスロマイシンを使用したところ、症状が早く軽快したとする論文も2000年代前半に出ていたようです。いっぽうで、肝機能障害などの副作用のため、使用頻度は減っているようです。
類似の作用がある薬ということで、今回はアジスロマイシンを使用して研究がされたようです。
研究の方法
イギリスの救急外来を中心に他施設共同RCTが行われたようです。対象になったのは、
- 2011-2014年
- 喘息の既往あり
- 48時間以内の受診
などです。治療は、
- アジスロマイシン 3日
- プラセボ 3日
のいずれかを投与しています。アウトカムは、
- 症状スコア
- QOLの改善
- 肺機能
などを指標にしています。
研究結果と考察
31箇所、4572人の患者が研究に参加しています。患者背景の特徴は、
- 平均 38歳
- 70%が女性
- FEV1 = 65%
- FEV1 = 69%
でした。
喘息の症状スコアについて
AZM | プラセボ | |
初日 | 4.14 (1.38) |
4.18 (1.48) |
10日後 | 2.09 (1.71) |
2.20 (1.51) |
10日後のグループ間の差はほとんどありませんね。
QOLや肺機能もほぼ同じような結果でした。
検出された病原体について
患者から取れた喀痰をPCRなどで検査しています。
- 細菌の検出は10%
くらいでした。
考察と感想
成人の結果になりますが、喘息発作のみで細菌感染症を疑わない状態であれば、抗菌薬を使用するメリットはほぼない印象です。細菌性は成人でも10%ほどで、あくまで予測ですが小児ではもっと少ないのではないでしょうか。
まとめ
成人の気管支喘息において、抗菌薬(アジスロマイシン)を初期治療で使用するメリットはほとんどなさそうでした。
小児でも類似の研究がないかを探してみようと思います。