前回は世界における乳癌の疫学について簡単に説明してきました。
今回は、大腸癌に注目して疫学の話をしていこうと思います。
Cancer Epidemiologyの教科書は以下↓
大腸癌の発症と死亡
大腸癌の発症と死亡数ですが、2018年に
- 185万人の新規発症
- 88万人の死亡
が生じたと推定されています。
世界的に、大腸癌は男性の新規発症癌3位で、女性では2位です。
現在は、先進国の症例が増加しつつあります。
やや男性の方が多く、男女比は1.44と推定されています。
国別にみた発症と死亡
国別にみた発症率と死亡率を見ていきましょう。
国別にみた年齢調整発症率
国別にみた大腸癌の発症率を見てみましょう。
こちらは男性です:
主に日本、欧州、豪州あたりの発症率が高いです。
女性の大腸癌発症率はどうでしょうか。
似たような分布ですが、日本、欧州、北米、豪州あたりが高いのが分かります。
地域で見た年齢調整発症率と死亡率
年齢調整発症率と死亡率は以下の通りになります。
発症率は、北米、欧州、豪州・ニュージーランドなどが高いのが分かります。
一方で、東ヨーロッパが頭一つ抜けている印象です。
発症率の経時トレンド
大腸癌発症率の経時トレンドを見てみましょう。こちらは男性のトレンドです。
全体の傾向として、ほぼ横ばいから増加傾向にあります。アメリカの発症率が劇的に減っているのが特徴的ですね。
こちらは男性のトレンドです。
ほぼ横ばいのトレンドにありますが、アジアはやや増加傾向ですね。
女性においても北米で発症率が劇的に減っています。
死亡率のトレンド
こちらは男性における大腸癌の死亡率のトレンドです。
欧米は基本的には死亡率は減少トレンドにあります。日本も近年は減少傾向にありますが、韓国は著しく増加傾向していますね。
こちらは女性における大腸癌の死亡率のトレンドです。男性と同じような傾向にあるのが分かります。
大腸癌の危険因子について
大腸癌の危険因子としては、以下のものが挙げられます。
危険因子 | 解説 |
運動 | 運動不足は大腸癌の危険因子 |
食事 | フルーツや野菜摂取が少ない 脂質が多い 加工肉(Gp1)と赤身肉(Gp2A) |
肥満 | 肥満や過体重 |
アルコール | アルコールの過剰摂取 |
炎症性腸疾患 | ・クローン病 ・潰瘍性大腸炎 |
家族歴 既往歴 |
大腸癌・大腸ポリープ |
遺伝疾患 | FAP (familial adenomatous polyposis) HNPSCC (Lynch syndrome) など |
おわりに
今回は大腸癌の国際的な疫学について簡単に解説してきました。
気になる方は、IARCはGLOBCANなどの資料を参照されると良いでしょう。
次回は前立腺癌について解説していければと思います。
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