- マクロライド系・テトラサイクリン系が小児の喘息に有効か検討した研究は複数ある
- システマティックレビューとメタ解析は2018年
これまで、小児の喘息と抗菌薬について解説してきました。小児の研究は複数行われていますが、それぞれの研究でアウトカムの設定が異なったりです。
今回は、システマティックレビューとメタ解析の結果を紹介しながら、ここの研究の総括ができればと思います。
研究結果と考察
今回のメタ解析では、小児は1〜18歳を対象に、
- 症状スコア
- 副作用
- 重篤な副作用
- 入院日数
- PEF
の5つの項目が検討されていました。
症状スコアについて
成人では2つの研究があったようですが、小児では抗菌薬の投与が症状スコアに与える影響を検討したものはありませんでした。
副作用について
副作用についてですが、小規模のRCTの結果があったようです(Shapiro et al. 1974)
抗菌薬 | あり | なし | OR |
副作用あり | 2/20 | 3/24 | 0.78 (0.12, 5.18) |
重篤な副作用について
重篤な副作用については、サンプル数が少なく評価不十分です。
抗菌薬 | あり | なし | OR or RR |
副作用あり | 0/20 | 0/24 | N/A |
入院日数について
入院日数に関しては、1974年のShapiroらの検討があります。
抗菌薬 | あり | なし | 平均差 |
入院日数 | 2.5 (0.8) |
2.6 (0.6) |
-0.10 (0.52, 0.33) |
入院日数はほとんど変わらないですね。
PEFについて
PEF (Pulmonary expiratory flow)に関しては、2012年のKoutsoubariらの検討が掲載されています。
[記事: クラリスロマイシn、ギリシャ]
抗菌薬 | あり N=18 |
なし N=22 |
平均差 |
入院日数 | 343.8 (87.1) |
305 (71) |
38.8 (-11.19, 88.79) |
PEFは抗菌薬を使用したグループの方が10%ほど高いようですね。とは言え、研究数は1つのみです。
感想と考察
小児の喘息と抗菌薬は重要なテーマだとは思うのですが、圧倒的に研究数が足りていない印象でした。システマティックレビューとメタ解析と言いながらも、メタ解析で結果を統合した解析は、小児においてはできていません。
近年は、マクロライド系の抗菌薬が喘息に置いて徐々に再注目されている印象ですが、もう少し研究数が集まってからでないと、判断は難しいように思います。
マンパワーであったり、資金であったり、倫理的な制約などで、小児は臨床研究が絶対的に不足しています。ですが、例えば、プロバイオティクスと胃腸炎だけで60近いRCTが行われており、必ずしもできないわけではないと個人的には思っています。
喘息と抗菌薬は重要なテーマですので、今後、研究が活発に行われることが望ましいと、一個人としては考えています。
まとめ
今回のシステマティックレビューとメタ解析では、抗菌薬と小児の喘息発作をテーマに行われていますが、研究数は不十分で、何か結論づけるのは難しいでしょう。
今後の研究結果の蓄積を待つ必要があります。