- プロバイオティクスは整腸剤だけでなく、食物や乳製品に含まれる
- 基礎疾患のない患者には基本的に安全と考えられている
- 安全性に関する調査数は限られている
プロバイオティクスは整腸剤だけでなく、食物や乳製品に含まれており、長年使用されてきた経験から基本的には安全と考えられています。
一方で、小児においても多数のRCTが行われてきましたが、安全性に関連するアウトカムの報告がない研究も多く、その評価は不十分です。
また、RCTでは参加者に限りがあるため、特に稀なアウトカムを調査は不十分です。このため、市販後の大規模調査がされることがありますが、プロバイオティクスに関しては行われておらず、副作用の症例報告に頼らざるを得ないのが現状です。
今回のこちらの論文では、症例報告を網羅的に集めて報告しています。
研究結果と考察
こちらが症例報告のまとめになります。
成人の報告例が多いですが、免疫不全、短腸症候群、中心静脈栄養中などの患者で、プロバイオティクスによると思われる菌血症・敗血症・心内膜炎・膿瘍などが報告されています。
特別な基礎疾患のない小児であれば基本的に安全に使用できると考えられていますが、基礎疾患のある症例によっては整腸剤由来の感染症を発症することがあり、全例に安全性が担保されているわけではない点は留意しておいた方が良いでしょう
その他
- Salminen MK, Tynkkynen S, Rautelin H, et al. Lactobacillus bacteremia during a rapid increase in probiotic use of Lactobacillus rhamnosus GG in Finland. Clin Infect Dis 2002; 35:1155–60.
- Salminen MK, Rautelin H, Tynkkynen S, et al. Lactobacillus bacteremia, clinical significance, and patient outcome, with special focus on probiotic L. rhamnosus GG. Clin Infect Dis 2004; 38:62–9
フィンランドでの研究になりますが、プロバイオティクスの使用増加に伴う菌血症の増加がないかを調査した研究もあるようですね。次回以降にお伝えできればと思います。
まとめ
プロバイオティクスは、特別な基礎疾患のない小児であれば基本的に安全に使用できると考えられています。
一方で、免疫不全状態、消化管疾患など基礎疾患のある症例によっては整腸剤由来の感染症を発症することが稀にあります。
全例に安全性が担保されているわけではない点は留意しておいた方が良いでしょう
プロバイオティクスは…
- 特別な基礎疾患のない小児であれば基本的に安全に使用できる
- 免疫不全状態、消化管疾患など基礎疾患のある症例によっては整腸剤由来の感染症を発症することがある