乳幼児にインフルエンザワクチンを推奨する理由ですが、
- 入院率が高い
- 急性中耳炎や肺炎のリスクが高い
などがあげられます。これまで、中国において複数のRCTが行われ、インフルエンザワクチンの有効性が示唆されていたようです。一方で、ワクチンが承認され、広く普及してからの有効性の検証が行われてこなかったため、今回の研究がなされたようです。
6-23ヶ月の乳幼児のインフルエンザワクチンは…
- 予防効果は認められている
- 2回接種を確実にする必要がある
- 1回のみだと効果は不十分かも
研究の方法
今回の研究は、中国のGuangzhou Cityの12区で行われた研究です。
対象となったのは、ケースは
- 発熱のため受診
- 6-59ヶ月
などが該当しています。このうち、インフルエンザはPCRで確定診断をしています。
コントロールは、健常児からランダムに抽出しています。
ワクチン接種について
ワクチン接種は、コンピューター上に登録されているようです。
- 全て接種:28日以上空けて全て接種
- 一部接種:1回のみ接種
- 接種なし
のいずれかに分類されています。
有効性について
有効性に関しては、
- オッズ比(OR)を計算
- VE = (1 – OR) x 100%
を見ています。(VE = vaccine efficacy)
研究結果と考察
6-23ヶ月の小児の結果に注目してみてみましょう。
年度毎に有効性は分けられています。
ワクチンの有効性について
年度 | ワクチン | VE | (95%CI) |
2009 | 2回 | 61.0% | (44.1%, 72.8%) |
1回 | 8.5% | (-31.8%, 36.5%) | |
なし | Ref | – | |
2010 | 2回 | 73.4% | (54.7%, 84.3%) |
1回 | 23.9% | (-10.5%, 47.6%) | |
なし | Ref | – |
こちらは6〜23ヶ月の結果ですが(平均1.3歳)、ワクチンの有効性は2回接種した場合には確実にありそうです。VEは60-70%ほどで、これは成人よりやや劣るくらいのレベルです。
一方で、1回接種の場合、ワクチンの有効性は不安定です。確実に2回接種しておきたいところですね。
感想と考察
今回の研究は、かなり明確に用量反応関係が出ていますね。
確かに2歳未満の小児はインフルエンザワクチンがつきにくいので、2回確実にスケジュール通り接種したいところですね。
一方で、2010年前後から、2歳未満の小児へのインフルエンザワクチンの有効性を認めた研究は多数出てきています。
まとめ
今回の中国の観察研究では、6-23ヶ月においてもインフルエンザワクチンを2回接種すれば、感染予防の効果を認めています。
一方で、1回接種のみだと予防効果は不安定で、不十分になる可能性もあります。
6-23ヶ月の乳幼児のインフルエンザワクチンは…
- 予防効果は認められている
- 2回接種を確実にする必要がある
- 1回のみだと効果は不十分かも