- インフルエンザワクチンは乳幼児には効かない
- だから、打っても意味がないし、推奨しない
いまだにこんなアドバイスをしている医師もいるようです。
ここ15-20年で、インフルエンザワクチンが乳幼児に有効である点は徐々にわかってきています。この辺りの知識のアップデートなしに、かなり古い根拠をもとに、ずっと同じアドバイスをし続ける医師がいる点は、保護者の方々は注意した方が良いと思います。
今回は、フィンランドで行われた研究結果を見ていきましょう。
- フィンランドで行われたコホートによると…
- 生後9〜23ヶ月でも、インフルエンザワクチンの有効性はある
研究の方法
今回の研究は2007-08年にフィンランドで行われた前向きコホート研究です。3価のインフルエンザワクチンが、生後9ヶ月〜3歳の小児に有効かを検討しています。
インフルエンザワクチンについて
インフルエンザワクチンは
- 不活化(3価)
- 0.5 ml/dose
- 4週間空けて2回
接種するのがフィンランドのやり方のようです。
アウトカムについて
アウトカムに関しては、
- インフルエンザ感染の有無(PCRで確定)
を見ています。
ワクチンの有効性(VE, vaccine efficacy)は、(1 – Risk Ratio) x 100%で推定しています。
研究結果と考察
最終的に631名が研究に参加しています。平均年齢はワクチン接種グループで1.7歳、非接種グループで2.3歳でした。
この集団全体と、年齢別の結果が提示されていました。
全体の結果
全体の結果は以下の通りとなります:
アウトカム | RR (95%CI) | VE (95%CI) |
インフルエンザA | 0.16 (0.04 to 0.60) | 84% (40 to 96) |
インフルエンザB | 0.55 (0.22 to 1.34) | 45% (-34 to 78) |
全て | 0.34 (0.16 to 0.71) | 66% (29 to 84) |
9ヶ月から3歳においては、インフルエンザワクチンの有効性が示唆される内容です。B型に関しては、やや不安定な結果です。
9ヶ月〜2歳
アウトカム | RR (95%CI) | VE (95%CI) |
インフルエンザA | 0.21 (0.05 to 0.79) | 79% (21 to 95) |
インフルエンザB | 0.72 (0.22 to 3.12) | 28% (-212 to 84) |
全て | 0.34 (0.16 to 0.91) | 66% (9 to 88) |
9ヶ月から2歳においても同様で、インフルエンザワクチンの有効性が示唆される内容です。同じくインフルB型に関しては、やや不安定な結果です。
感想と考察
生後9ヶ月〜2歳でも有効性が示唆される内容が出ています。
シーズンによって流行株が異なるのでしょうが、このシーズンではワクチンの有効性が示唆されていますね。
少しサンプル数は少なく不安定かもしれませんが、少なくともA型の予防効果は確実に見られています。
まとめ
今回の研究は、生後9ヶ月〜2歳の小児にインフルエンザワクチンの有効性をコホート研究で検証していますが、有効性は示唆されています。
フィンランドで行われたコホートによると…
- 生後9〜23ヶ月でも、インフルエンザワクチンの有効性はある