少し昔の論文になりますが、2000年代は乳幼児へのインフルエンザワクチンの有効性が不確かであったため、特に2歳未満へルーチンに使用すべきか議論が分かれていたようです。
例えば、2004年にUS advisory comittee on immunization practicesは「6-23ヶ月の乳幼児にもインフルエンザワクチンを使用すべき」と推奨していたようでしが、この時点ではエビデンスの集積が不十分であったため、疑問を投げかけられていた時期もあったようです。
オーストラリアでも、自国で乳幼児のインフルエンザワクチンをどうすべきか、議論を深めるために、今回のRCTが行われたようです。
- 2007年、オーストラリアでインフルエンザワクチンの研究
- 6-23ヶ月でも有効性はありそうな印象
- 追加検証が必要な結果
研究の方法
今回の研究は2007年にオーストラリアで行われたRCTになります。
対象となったのは、
- 6-59ヶ月
- 保育所に通園している
などが該当しています。
インフルエンザワクチンについて
インフルエンザワクチンは、3価の不活化ワクチンが使用されています。
- インフルエンザワクチン
- ワクチンなし
のいずれかをランダムに保育所レベルで割り当てています。
アウトカムについて
アウトカムに関しては、
- インフルエンザ発症率
- 他のウイルス感染の発症率
などを見ています。
ワクチンの有効性は、(1 – RR) x 100%で推定しています。
研究結果と考察
最終的に4施設が参加して、cluster RCTが行われました。ワクチン接種を受けた小児が63人、コントロールが88人です。
全体の有効性
全体の結果は以下の通りでした:
IR | RR | VE | |
ワクチン | 0.03 (15/481) |
0.56 (.32, 1.02) |
44% (-2%, 68% |
コントロール | 0.06 (44/792) |
こちらは6-59ヶ月の結果になりますが、ワクチンの有効性はありそうな一方で、95%信頼区間は広く、不正確な推定です。
6-23ヶ月の有効性
IR | RR | VE | |
ワクチン | 0.05 (4/78) |
0.46 (.15, 1.45) |
54% (-45%, 85%) |
コントロール | 0.11 (14/126) |
こちらも同じような推定になりますね。予防効果はありそうですが、サンプル数がやや少ないせいか95%信頼区間は広く、不正確な推定です。
感想と考察
サンプル数が少ないものの、インフルエンザワクチンは予防効果を示唆する結果です。この後にオーストラリアとニュージーランドが合同でRCTを行なっていますが、今回の研究はパイロット版だったようですね。
まとめ
今回の研究では、6-23ヶ月の乳幼児を含み、インフルエンザワクチンの予防効果が示唆される結果でした。
先日、ブログで紹介しましたが、この研究の後にオーストラリアとニュージーランドで共同で大規模なRCTが行われています。
インフルエンザワクチンは…
- 2007年にオーストラリアでCluster RCTが行われ
- 追加検証は必要なものの、有効性が示唆されている