インフルエンザワクチンの有効性に関して、アメリカのテネシー・オハイオ・ニューヨークで行われた観察研究の結果がありましたので、ご紹介します。
今回も、生後6-23ヶ月の結果のみの紹介とさせていただきます。
- 2005-2007年に行われたインフルエンザ不活化ワクチン(3価)の研究
- 6-23ヶ月を対象
- 予防効果はスケジュール通りの接種なら60%ほど
Staat, et al. Vaccine effectiveness for laboratory-confirmed influenza in children 6–59 months of age, 2005–2007. Vaccine. 20011;29:9005-9011
研究の方法
今回の研究は2005-2007にかけて、NY、テネシー、オハイオなどで行われています。
対象となったのは、協力した医療機関に風邪症状で受診した患者で
- ケース:インフルエンザ確定(PCR)
- コントロール:検査陰性
としています。最終的にデータは年齢、地域、医療機関の種類などでマッチングを行った「matched case-control study」です。
ワクチンについて
インフルエンザワクチンは、
- Full: スケジュール通りの接種
- Partial: スケジュール通りではないが接種あり
- なし
のいずれかに分類しています、この時期は3価インフルエンザ不活化ワクチンを使用していたようです。
アウトカムの比較について
アウトカムの比較に関しては、
- Conditional logistic regressionを使用し
- adjusted Odds ratio (OR)を計算し
- VE = (1 – OR) x 100%
を推定しています。
研究結果と考察
ケース、コントロールを合わせて、2005-2007において500名ほどの6-23ヶ月の乳幼児のデータが解析対象となっています。
インフルエンザワクチン効果について
インフルエンザのワクチン効果は以下の通りでした:
05/06 | VE | 95%CI |
Full | 65% | 2 to 88 |
Partial | 32% | -95 to 76 |
06/07 | ||
Full | 55% | -42 to 86 |
Partial | 39% | -73 to 78 |
05-07 | ||
Full | 62% | 16 to 82 |
Partial | 39% | -27 to 70 |
スケジュール通りにワクチンを接種しているとワクチン効果は55-65%ほど、スケジュール通りでないよワクチン効果は32-39%ほどの推定ですね。
感想と考察
今回の研究ではアメリカの6-23ヶ月の乳幼児において、インフルエンザワクチンの有効性が示唆されるデータでした。また、ワクチンはスケジュール通り確実に打ったほうが、予防効果は高くなっています。日本国内でいうと「2−4週間空けて2回接種」を確実にされると良いでしょう。
この研究においてもtest negatice controlという方法を取られています。この方法に関しては、疫学的に本当に正しいのか、自分の中で少し疑問点がある点だけ追記しておこうと思います。
まとめ
今回の研究では、アメリカの2005-2007年において、6-23ヶ月の乳幼児でもインフルエンザワクチンの有効性が示唆される結果でした。
ワクチンはスケジュール通り、確実に2回接種したほうが効果は高まりそうです。
- 2005-2007年に行われたインフルエンザ不活化ワクチン(3価)の研究
- 6-23ヶ月を対象
- 予防効果はスケジュール通りの接種なら60%ほど
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