インフルエンザの流行期によく使用する迅速検査ですが、検査ですので感度・特異度があります。
つまり、本当は陽性と出るはずが陰性と出たり、その逆も起こり得ます。このため、検査の性能の指標として感度・特異度を見ることがあります。
感度は、インフルエンザが本当にある患者において、検査が陽性となる確率です。
特異度は、インフルエンザが本当にない患者において、検査が陰性となる確率となります。
今回は、この感度と特異度が年齢によってどのくらい違うもか、検討した研究を見てみましょう。
- インフルエンザ迅速検査の妥当性を評価
- 感度は60-70%、特異度は95%以上
- 年齢によるばらつきは大きくはなさそう
今回の文献はこちらです。
研究の方法
今回の研究は、2004/05と2005/06シーズンで、アメリカにおいて小児を中心に行われた迅速検査の妥当性評価の研究です(Validation study)。月齢に分けて感度、特異度がどのくらい異なるのかを調査しています。全部で9000人近くのデータを使用しています。
検査ですが、
- 2004/05は「Remel Xpect Flu A&B」
- 2005/06は「Binax Now Influenza A&B」
- ゴールドスタンダードにウイルス培養
を使用しているようです。
研究結果と考察
結果は以下の通りでした。
インフルエンザAの場合
年齢 | N | 感度 | 特異度 |
< 6ヶ月 | 2987 | 62.5% | 98.7% |
6-23ヶ月 | 2339 | 66% | 98.7% |
23-59ヶ月 | 1401 | 75.5% | 98.2% |
5-18歳 | 2219 | 61.7% | 97.4% |
感度と特異度は以下のようでした。
幼児期の感度が一番高い印象ですね。一方で、特異度はどの年齢でもあまり変わらない印象です。
インフルエンザBの場合
年齢 | N | 感度 | 特異度 |
< 6ヶ月 | 2987 | 27.6% | 99.9% |
6-23ヶ月 | 2339 | 25.9% | 99.7% |
23-59ヶ月 | 1401 | 18.9% | 99.9% |
5-18歳 | 2219 | 30.7% | 99.8% |
B型の感度はかなり低いですね。特異度は変わらない印象です。
感想と考察
インフルエンザ迅速検査ですが、特異度は非常に高く、感度は低い結果でした。
使用している検査キットは日本のものと異なる点、また検査したタイミングを考慮していない点は注意した方が良いですね。
感度70%は低めですが、これは偽陰性が多いことが示唆されます。つまり、本来は陽性と出るはずが、なぜか陰性となってしまうことです。インフルエンザの場合、発熱後の検査するタイミングが重要で、一般的には24時間後くらいが良いと考えられています。
まとめ
今回の研究では、インフルエンザの迅速検査は感度60-70%、特異度は95%以上の結果でした。
B型に関しては再検討の余地があるのと、検査するタイミングも考慮して欲しかったですね。
- インフルエンザ迅速検査の妥当性を評価
- 感度は60-70%、特異度は95%以上
- 年齢によるばらつきは大きくはなさそう
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