- 「インフルエンザの検査は、半日過ぎてから」
医療機関によっては検査のタイミングのカットオフが異なりますが、インフルエンザの症状(主に発熱)開始から「6時間」「12時間」「24時間」など、一定の時間が経過してから検査をすることが多いでしょう。
これは、発熱してすぐより、少し時間が経ってからの方が、鼻腔内のインフルエンザの量が増えるため、検査の正確性が上がるからと考えられています。
一方で、「XX時間だと感度や特異度はどのくらい?」という疑問に答えた研究はそれほど多くはありません。
今回、中国の研究を発見しましたので、そちらを紹介します。
ポイント
- インフルエンザの迅速検査の研究:2009年中国
- 迅速検査は発熱2日目にすると感度・特異度ともに高そう
マミー
早く受診しすぎると検査してくれないこともありますか?
Dr.KID
ケースバイケースですが、発熱直後とかだと、「また明日」「また夕方」に来てねということはあり得ます。
研究の方法
今回の研究は、2009年4月に中国で行われた研究です。
対象となった検査キットは
- a new lateral-flow RIDT kit [SD Bioline Influenza Ag A/B/A(H1N1)]
- PCR
- ウイルス分離
を使用して、妥当性を検証しています。
Dr.KID
いわゆる「Validation study」ですね
研究結果と考察
最終的に340人が参加しています。結果は以下の通りでした。PCRの結果をゴールドスタンダードとしてみてみましょう。
感度と特異度
N | 感度 | 特異度 | |
数時間以内 | 86 | 61.1% | 96% |
1日 | 158 | 61.3% | 99% |
2日 | 59 | 92.3% | 97% |
3日 | 22 | 50% | 100% |
4−12日 | 15 | 37.5% | 100% |
全体 | 340 | 65% | 98% |
発熱した初日より、2日目の方が感度は高そうですね。特異度に関しては、かねがね95%以上あり、かなり優秀と思います。
感想と考察
迅速検査の場合は、1日くらい経過していた方が良さそうですね。ワクチン接種の有無で、結果が異なるかも気になるところですね。
Dr.KID
実際に検査するか否かは、また別の話ですので、このシリーズでは省略させてもらいます。
まとめ
インフルエンザの迅速検査は、発熱してから1日経過してからが感度が高そうでした。
マミー
具合が悪くなければ、少し様子を見てから受診してみる方が良さそうですか?
Dr.KID
ケースバイケースですが、本人は熱以外で心配な要素がなく、「診断の精度を上げたい」のであれば、選択肢になると思います。
まとめ
- インフルエンザの迅速検査の研究:2009年中国
- 迅速検査は発熱2日目にすると感度・特異度ともに高そう
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