インフルエンザの迅速検査は、発症6〜12時間以内は感度が低く、検査をためらう医師が多いと思います。
一方で、患者側からすれば、発熱がある状態で何度も外来を受診するのが困難なため、できれば受診したときに検査をしてもらいたい方が多いでしょう。
従来のインフルエンザ迅速診断には、イムノクロマト法が使用されてきましたが、近年銀増幅技術を用いた高感度インフルエンザ診断薬が開発されたようです。
この検査が、どのくらい感度を向上させているのか気になったので、調べてみました。
- 高感度迅速検査の妥当性を評価
- 発症早期・後期での感度をあげるかもしれない
- 追加検証は必要
銀増幅技術による高感度インフルエンザ診断薬の開発. Fujifilm Research & Development. 2015;57.5-10
研究の方法
2009/10のシーズンにとある診療所をおとづれた小児の患者120検体を用いて、検査キットによる感度、特異度の違いを検定しています。
検査は、
- 銀増幅法
- エスプライン(従来の迅速検査)
- ウイルス分離
をして、感度、特異度を調査しています。
研究結果と考察
時間による感度の変化は以下の通りでした:
感度
時間 | 銀増幅 | エスプライン |
〜6 | 84.6% | 69.2% |
6-12 | 75.0% | 75.0% |
12-24 | 76.0% | 76.0% |
24-48 | 90.0% | 90.0% |
48- | 100% | 50.0% |
データなし | 81.8% | 81.8% |
全て | 82.1% | 76.5% |
感度に使用されたサンプル数Nは、N = 13 + 4 + 25 + 10 + 4 + 11 = 67、と少ないですが、〜6時間と48時間の感度はやや改善している印象ですね。
感想と考察
インフルエンザの診断における高感度迅速診断は、初期・48時間以降の感度を改善させるかもしれないという結果でした。
サンプル数がまだすくないのと、今回はメーカー側で行われた研究のようなので、追加での検証は必要でしょう。
まとめ
インフルエンザの診断における高感度迅速診断は、初期・48時間以降の感度を改善させるかもしれないという結果でした。
サンプル数がまだすくないのと、今回はメーカー側で行われた研究のようなので、追加での検証は必要でしょう。
- 高感度迅速検査の妥当性を評価
- 発症早期・後期での感度をあげるかもしれない
- 追加検証は必要