登校許可証や登園許可証の記載を求められることが多い冬場の小児科外来ですが、そのうちインフルエンザやRSウイルスが代表的です。
例えばインフルエンザの場合は「発熱後5日以上、かつ解熱後2〜3日」という基準で記載していますが、実際にウイルスの排出期間がどのくらいか検討した研究もありますので、今回ご紹介させていただこうと思います。
- インフルエンザAは発症1週間前〜2週間後
- RSウイルスは発症数日前〜3週間後
研究の方法
この研究では、1975〜1980年にかけて出生時に登録した小児と家族を対象に、ウイルス分離検査を毎週行っています。この論文では、主にインフルエンザとRSウイルスの発症前後で、どのくらいの期間で排出されているかをみています。
研究結果と考察
こちらが研究結果です。インフルエンザウイルスとRSウイルスの排泄期間になります。
インフルエンザA
日付 | 陽性例 |
-6 | 1 |
-4 | 1 |
-3 | 2 |
0 | 4 |
1 | 8 |
2 | 16 |
3 | 4 |
4 | 7 |
5 | 4 |
6 | 4 |
7 | 4 |
8 | 1 |
9 | 1 |
14 | 1 |
発症6日前〜発症後14日でウイルスが排泄されていたのが分かります。
RSウイルス
日付 | 症例数 |
-4 | 2 |
-2 | 1 |
-1 | 1 |
0 | 2 |
1 | 9 |
2 | 11 |
3 | 3 |
4 | 8 |
5 | 7 |
6 | 1 |
7 | 5 |
8 | 1 |
9 | 1 |
17 | 1 |
18 | 1 |
22 | 1 |
24 | 1 |
RSウイルスに関しては、かなり長い期間排出されています。
インフルエンザB
インフルエンザの結果は以下の通りでした:
日付 | 症例数 |
0 | 1 |
1 | 6 |
2 | 1 |
3 | 1 |
4 | 3 |
6 | 1 |
7 | 2 |
8 | 2 |
9 | 2 |
10 | 1 |
13 | 1 |
14 | 1 |
B型に関しては、発症前に検出されることはなかったようですが、2週間ほどウイルスを排泄されているようです。
感想と考察
インフルエンザAもRSウイルスも、発症する前からウイルスが排出されています。
これは感染症の疫学を考える上で非常に重要ですが、なかなかコントロールするのが難しいことを意味しています。
日本ではインフルエンザの迅速診断、抗インフルエンザ薬、ワクチンを使用して感染症の流行をおさえようとしていますが、どれもいまいち上手くいっていませんね。どこまで医療のリソースをそそぎ続けるのか、そろそろ考え直してもよいような気がしています。
まとめ
今回の研究では、インフルエンザA型は発症1週前〜2週後、RSウイルスは発症4日前〜発症後21日後まで排泄されていたようです。
- インフルエンザAは発症1週間前〜2週間後
- RSウイルスは発症数日前〜3週間後
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