前回は子供中心のトイトレ法(Child-Oriented Method)について解説してきました。
現在は、これ以外にもいくつか方法があり、今回はAzrin and Foxxトイトレ法というものを解説していこうと思います。この方法は1960年代くらいから行われている方法のようです。
- Azrin & Foxx法に関する解説
- 詳細なステップがある反面、1つ1つはやや細かすぎる印象
Azrin & Foxx法の目的
Azrin & Foxx法では、「注意を促したり、助けたりすることなく、自分でトイレをする」ことを教えるのが目的です。
トイトレの開始時期は、生後20ヶ月くらいを設定します。この時期に、
- 膀胱の機能をコントロールできるか
- 身体の発達が十分か
- 指示に従えるか
といった点を評価して、トイトレを開始できるか見定めていきます。
膀胱の機能のコントロール
まずは膀胱の機能を自分で制御しているかどうかを見極めます。具体的には、以下を満たしているかを確認します:
- 一度に全て排尿できる
- 数時間は尿が出ない
- 排尿するタイミングを知っている
排尿のタイミングに関しては、具体的に「おしっこ」と言わなくても、顔の表情または姿勢の変化が規則的にあれば、自覚していると判断します。
身体の発達
発達が成熟していて、トイトレの準備ができているかの判断もします。ここでは、
- 容易に物を拾い上げる
- 補助なしで歩行可能
といった身体機能の発達が十分かを見極めます。
指示に従う
トイトレでは、親からの指示に従えるかも重要です。このため、
- 鼻、目、口、髪を指差しできる
- 椅子に座る
- 立ち上がる
- 親と一緒に別の部屋へ歩く
- 単純なタスクを模倣する
- 特定のものを取ってくる
- ある物を別の物の内における
といった点ができるかを確認します。
これらを満たしていた場合、トイトレが準備できており、次の段階に進みます。
トイトレ前の練習
トイトレの準備が発達面などで満たしたからといって、すぐにトイトレに入るわけではなさそうです。
具体的にトイトレする前に、以下のトレーニングを先にします:
- 自分で服を着たり脱いだりすること、特にズボンの上げ下を、親が手伝いながら教える
- 子供が親のトイレを見て、手順を説明できるようにする
- トレーニング中に使うトイレの言葉を教える
- 指示されたときに協力するように子供に教える
- 子供が失敗する可能性のある指示を、親がしない
- トイトレの進行を妨げるため、親は癇癪(かんしゃく)を起こさない(怒らない)
トイトレのセットアップ・環境を整える
次に、トイトレの環境を整えます。Azrin & Foxx法では、以下の点を重視しています
- トイトレをする場所・部屋を1つにする
- トイトレをする場所におもちゃなどは置かない
- 子供の好きなお菓子、飲み物などを用意する
- 子供でも簡単に取り外しできる補助便座を用意する
- 排泄行為の具体的な手順を教えられる人形を用意する
- 上手くいった時に褒めてくれる人やキャラクターをリストする
- 子供でも簡単に上げ下げできる大きさのトレーニングパンツを8個以上用意
- トレーニングパンツの上げ下げの邪魔にならないよう、短いシャツを着る
- ズボンの掴み方を教える(背中の中央や前の中央)
具体的なトイトレの方法
トイトレを始める前に、前向きな強化(positive reinforcement)を行うための「ご褒美」を準備しましょう。トイレに近づく、ズボンをつかむ、トイレに座るなど、正しいトイレ技術を身につけたら、「ご褒美」を使って報酬を与えるやり方です。例としては、ジュース(120ml以下)、お菓子、抱擁などがあります。
おまる・補助便座の使い方を覚え、ズボンを濡ラサないことが、どんなに楽しいかを子どもに伝えましょう。
具体的なトイトレの手順は以下の通りです。
1. 人形で教える
人形を使ってトイレの様子を真似たり、具体的な動作を教えたりします。
子供に手動で適切な動作をさせて覚えてきたら、子供に人形を操作させます。
2. 人形での排泄のケース
まずは、人形でおまるや補助前座で排泄したら、
- おまるを外す
- トイレに流す
- 元の場所に戻す
を繰り返します。
まずは人形を使って、これを習得したら、子供のトレーニングを開始します。
3. 子供が濡れたパンツと乾いたパンツを区別する
子供に濡れたパンツと乾いパンツを確認することを教えます。
乾いたパンツが分かれば、ご褒美を与えます。
4. 飲み物を与え、排尿の感覚を確認する
子供に好きなだけ飲み物(お茶・水・牛乳など)を与え(> 240 ml/時)、排尿への強い頻繁な欲求を生じさせます。
「排尿したい」と意思表示できたら、褒めてあげましょう。
5. トイレに座るまでの方法を教える
おまる・補助便座まで歩き、パンツを下ろし、数分間静かに座り、立ち上がってズボンを上げるよう指示します。
排尿が始まるかどうかを観察し、上手に排尿できたら、すぐに褒めてあげましょう。
6. 排尿後の手順を教える
排尿できたら、トイレを流して、おまるや補助便座を戻す方法を習得させます
7. 試行回数を増やす
試行回数を増やします。
最初は15分ごとにトイレを促し、子供が排泄の技術を習得するにつれて回数を減らす。
8. パンツを確認
5分ごとに「パンツが乾いているか」チェックをします。同じことを、子供にもやらせてください。
9. おまるや補助便座に長めに座らせる
まず、10分くらいおまる・補助便座に座らせます。
おまるや補助便座に2、3回排尿できたら、褒めてあげましょう。
子供は理解してくれるようになり、促して座る時間を減らすことができます。
10. 自主性を促す
最初は親が1つずつ指示をしますが、徐々に自分でするようにしていくと良いでしょう。
感想と考察
1960年代の考案された方法です。この方法も良し悪しで、良い点としては具体的な方法がかなり事細かに記載されている点です。一方で、1つ1つのステップがやや厳しく、どこかでつまづいてしまう方が大半なのではと思ってしまいました。個人的にはもう少しおおらかに進めても良い気がしています。
ただ、当時としては親が中心であったトイトレが、子供中心へと変わった方法論であり、そういう意味では当時は画期的であったのでしょう。そういった評価は忘れてはいけないですね。
まとめ
今回は、1960年代に考案されたトイトレの方法であるAzrin & Foxx法について、簡単に説明してみました。現代に当てはまらない部分もあるので、参考程度にしていただければと思います。
- Azrin & Foxx法に関する解説
- 詳細なステップがある反面、1つ1つはやや細かすぎる印象