- RSウイルスには繰り返し感染しますか?
というご質問も、よく受けます。答えとしては、RSウイルスな繰り返し感染することがあります。一方で、感染を繰り返す場合、その回数によって重症となるリスクは減っていく印象です。
今回は、その事実を確認した研究を見てみましょう。
- RSウイルスの感染率・再感染率を見た研究
- RSウイルスは複数回感染することはある
- 2〜3回目以降は、重症化のリスクは低くなる
研究の方法
1966年から行われた、アメリカでのコホート研究のデータを用いています。
生後6週〜半年までの小児を研究対象にし、5年ほど経過を追っています。
アウトカムについて
アウトカムに関しては、
- RSウイルスの感染率
- RSウイルスの再感染率
- 気管支炎や肺炎などのリスク
などを見ています。
研究結果と考察
最終的に103人の小児が研究に参加しています。
感染回数とリスク
RSウイルスへの感染回数と、生じる割合を見た結果は以下の通りです:
ウイルスへの暴露 | 感染者/暴露者 | % |
1回 | 60/61 | 98.4% |
2回 | 35/47 | 74.5% |
3回 | 17/26 | 65.4% |
ウイルスへの暴露回数が多いほど、感染のリスクが減っているのが分かります。
とはいえ、繰り返しウイルスに暴露しても、必ずしも感染しないわけではなさそうです。
年齢別に見たRSウイルス感染
月齢・年齢別に、RSウイルス感染とその症状・合併症を見てみましょう:
2-6ヶ月 | 6-12ヶ月 | 1-3歳 | |
風邪 | 21% | 7% | 32% |
中耳炎 | 29% | 68% | 63% |
細気管支炎 | 57% | 39% | 21% |
肺炎 | 14% | 11% | 11% |
下気道炎 | 71% | 54% | 42% |
発熱 | 50% | 64% | 42% |
年齢が上がるほど、単なる風邪で終わる可能性が徐々に上昇しているのが分かります。
感染回数と症状・合併症
感染回数 | 初回 | 2回目 | 3〜4回目 |
風邪 | 18% | 41% | 56% |
中耳炎 | 57% | 41% | 28% |
細気管支炎 | 38% | 18% | 11% |
肺炎 | 12% | 5% | 0% |
下気道炎 | 54% | 25% | 17% |
発熱 | 54% | 41% | 17% |
感染を繰り返すほど、軽症で済む可能性が上昇しているのが分かります。
発熱のリスクも大きく下がるようですね。
感想と考察
RSウイルスの自然経過をよく捉えた研究と思いました。
RSウイルス感染は繰り返しますが、2回目、3回目となるにつれ、重症化のリスクは徐々に小さくなっています。確かに生後1歳未満のお子さんの場合は、細気管支炎のリスクがそれなりに高いので注意は必要ですが、その心配も年齢とともに徐々に消失していきます。
繰り返すことがあるからこそ、知っておいた方が良いデータですね。
まとめ
RSウイルスは繰り返し感染します。しかし、初感染より、2〜3回目以降の感染の方が合併症のリスクは大きく低下するのが分かっています。
- RSウイルスの感染率・再感染率を見た研究
- RSウイルスは複数回感染することはある
- 2〜3回目以降は、重症化のリスクは低くなる