- 「トイトレ中は、焦らない、怒らない、叱らない」
は鉄則と言われています。
出来るだけ排便、排尿に関してネガティブな言葉は避け、褒めるようにする、というのは外来で一般的に説明される内容でしょうが、この考え方に科学的な根拠があるのか調べてみました。
面白そうな論文を見つけたので、ご紹介させていただこうと思います。
- アメリカで行われたRCT
- トイトレの時に「ネガティブな言葉を言わない」「成功したら褒める」と追加で保護者に指導
- トイトレを拒否する期間が短くなる傾向にある
- トイトレ完了が数ヶ月短くなる傾向にある
研究の方法
今回の研究は、2003年にアメリカのフィラデルフィア小児病院から報告されたものです。
対象となったのは、
- 17〜19ヶ月の幼児
- これからトイトレを始める予定がある
などが該当しています。
介入について
基本的には全員にChild-oriented approach(子供中心の方法)を指導し、その上でネガティブな言葉を使わないこと、排便などに成功した時に褒めるうことの2点を教えるか否かの指導をランダムに割り当てています。
介入は、
- ネガティブな言葉を言わない、成功時に褒める
- 指導なし
のいずれかをランダムに投与しています。
アウトカムについて
アウトカムに関しては、
- 排便の拒否
- 排便を拒否した期間
- 排便を我慢する期間
- トイトレが完了する月齢
などを見ています。
研究結果と考察
最終的に406人の小児が研究に参加しています。このうち、24名は追跡不能となり、研究の対象から除外されています。
- 教育的な介入あり:198名
- 介入なし:183名
でした。
介入効果について
メインの介入効果は以下の通りでした:
介入あり | 介入なし | |
トイトレ拒否 | 26% | 23% |
トイトレ拒否の期間 | 5.1ヶ月 (3.2) |
7.3ヶ月 (6.0) |
トイレを我慢する | 52% | 55% |
隠れて排便する | 68% | 70% |
トイトレ完了 | 40ヶ月 (6.4) |
43ヶ月 (6.5) |
- 排泄に対してネガティブな言葉を言わない
- 上手にできたら褒める
という指導をした方が、トイトレを拒否する期間は2ヶ月ほど、トイトレの期間は3ヶ月ほど短く、すむ傾向にありました。
実際に遵守できていたか?
実際に、どのくらい指導を守れていたかも見ています:
介入あり | 介入なし | |
ネガティブなこと を言った |
25% | 46% |
子供を褒めた | 34% | 8% |
やはり介入をした方が、ネガティブな言葉を言う頻度は低く、子供を褒める割合が高い傾向にありましたね。
ですが、遵守率はそこまで高くなさそうですね。
感想と考察
トイレトレーニングでは「排泄に関してネガティブな言葉を言わない」「上手くできたら褒める」も重要な要素のようですね。
実際に「ネガティブな言葉」と言うのが、アメリカにおいてどのような意図なのか難しいですね。おそらく「便は汚い」「臭い」と言ったイメージを悪くするようなものでしょうか。
著者らはこの辺りをあまりクリアに記載しておらず(stinky diaperと言った表現はされていましたが)、なかなか文化の違いまでは読み取れませんでした。
まとめ
今回の研究は、トイトレの時に「ネガティブな言葉を言わない」「成功したら褒める」と追加で保護者に指導したところ、トイトレを拒否する期間が短くなり、トイトレ完了が数ヶ月短くなる傾向にあったようです。
- トイトレの時に「ネガティブな言葉を言わない」「成功したら褒める」と追加で保護者に指導
- トイトレを拒否する期間が短くなる傾向にある
- トイトレ完了が数ヶ月短くなる傾向にある