トイレトレーニング(トイトレ)の有効性を比較した研究は少数です。ですが、1970年代に研究された記録が、論文としていくつか残っているようです。
今回は、Azrin & Foxx 法の指導あり/なしで行われたRCTがあるようなので、そちらをご紹介させていただきます。
- Azrin & Foxx法の有効性を検討したRCT
- Azrin & Foxx法の方が成功率は高い傾向にはあった
- サンプル数が少なく、追加検証は必須
- すべての子どもに画一的にアプローチすべきかは疑問
Matson JL, Ollendick TH. Issues in toilet training normal children. Behav Ther. 1977;8(4):549–53
研究の概要
こちらの研究は、生後20-26ヶ月の健常な幼児を対象にランダム化比較研究(RCT)が行われています。治療には、
- Azrin & Foxx法の指導
- 本のみで指導
を行い、その後に成功率を比較しています。指導を受ける側は、医療者からAzrin & Foxx法を直接、5日間行われていたようです。
結果について
最終的な結果は以下の通りでした:
Azrin&Foxx | あり | なし |
成功率 | 4/5 | 1/5 |
10人で行われたRCTですが、Azrin & Foxx法を行ったグループの方が成功率は高かったようです。ただ、サンプル数も少ないのもあり、統計学的な有意差は認めなかったようです。
9週ほど経過観察をしましたが、Azrin & Foxx法の方は、トイトレ完了の状態を維持できていたようです。一方で、Azrin & Foxx法の指導を受けなかったグループは、トイトレを嫌がってしまうお子さんが多かったようです。
感想
サンプル数がかなり少ないですし、盲検化が難しいので、なんとも言えませんが、Azrin & Foxx法の指導を受けた方が、成功率がその時点では高いという結果でした。
本を読んでトイトレを学ぶというのは一般的な方法なのでしょうが、初めての子育ての方もいて、手探りで行わざるを得ないのではないでしょうか。百聞は一見にしかず、かもしれませんが、確かに方法を具体的に教えてもらう場合とは、短期的にアウトカムの差が出てしまうのかもしれないですね。
ただ、トイトレをそこまで焦ってする必要があるか、という別の問題もあるかとは思います。現に、Azrin & Foxx法で失敗した方は、このやり方を受け入れることができずに、結果としてうまくいかなかったようです。トイトレに画一的なアプローチで行くと、負の側面が出てきてしまうかもしれないですね。本人や家族の特徴もあるでしょうし、そのあたりは臨機応変な対応が必要なのでしょう。
まとめ
今回の研究はトイトレのAzrin & Foxx法の有効性を検討したRCTでした。
Azrin & Foxx法をした場合の方が、成功率は高いですが、この研究自体はサンプル数が少なく、不正確な推定と思います。
また、すべての小児に画一的な方法をとる弊害も見られました。
- Azrin & Foxx法の有効性を検討したRCT
- Azrin & Foxx法の方が成功率は高い傾向にはあった
- サンプル数が少なく、追加検証は必須
- すべての子どもに画一的にアプローチすべきかは疑問
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