科学的根拠のある子育て・育児

おねしょアラームがトイレトレーニングに有効かもしれない [ベルギー編2]

夜尿症などで使用するおねしょアラームが、トイレトレーニング(以下、トイトレ)に有効かもしれないという研究結果を前回紹介しました。

アラーム療法はトイレトレーニングにも使用できるのか?[ベルギー編]アラーム療法は夜尿症の治療で用いることがあります。 https://www.dr-kid.net/nocturnal-enuresis...

同じ研究グループになってしまいますが、アラームの使用がトイトレに有効かを検証したRCTが出ていたので、こちらもみていきましょう。

ポイント

  •  ベルギーで行われた小規模のRCT
  •  アラームを使用することで、日中の排尿コントロールの成績が向上
  •  比較的、短期間で効果があるかもしれない
  •  サンプル数が少ない、日本に結果を一般化できるかは分からない
マミー
マミー

Dr.KID
Dr.KID

研究の概要

2009年に出版された論文です。今回もベルギーの保育所で行われたランダム化比較試験になります。対象となったのは、

  •    生来健康
  •    18〜30ヶ月

の乳幼児39人になります。

介入について

行われた介入は、

  •  音がなるアラーム
  •  音がならない偽のアラーム(コントロール)

のいずれかをランダム割つけて、その後に日中の排尿コントロールを、介入前、介入後、2週間後に3回評価しています。

排尿コントロールがついたと判断されるのは、

  •  下着を装着
  •  排尿が必要なタイミングで気づいている
  •  促されなくても、自らトイレに行き始る
  •  お漏らしは1日1回以下

という基準のようです。

結果について

最終的に、アラームが鳴るグループは27人、コントロールは12人でした。トレーニング終了後には、アラームが鳴るグループの方が、トイレトレーニングの成績が良かったようです。

アラーム あり なし
基準を達成 51.9% 8.3%

2週間後にも、同じ項目を評価していますが、治療効果は認めていたようです。

Dr.KID
Dr.KID
排尿したという生理的な刺激を教えてくれるツールということでしょうかね。

 感想と考察

現在でもトイトレは「子供中心のアプローチ」で、子供の発達に合わせてゆっくりと、焦らず、怒らずに行うものが主流です。この問題点としては、ゆっくりであるが上に、保護者が焦ってしまい失敗するケースもよくあります。特に、「トイトレ完了してから」しか受け入れてくれない保育園がベルギーにもあるようで、この場合は保護者の焦りにも繋がってしまうのでしょう。

アラームで排尿したことを子供に機械的に教えてくれ、比較的短期間でトイトレが完了できそうなのが今回の方法のようです。ただ、前回の報告された研究より、成功率は低くなっており、万人に効くものではなさそうです。

アラームそのものに拒否反応を示す子供の場合、嫌がってしまうケースも考えられます。

Dr.KID
Dr.KID
2週間で成功率は50%ほどですね。100%ではありません。

まとめ

今回の研究は、アラームがトイトレに有効かを検証したRCTです。

アラームを使用すると比較的短期間で日中の排尿コントロールに結びついたようです。

サンプル数も少なく、同じ研究者からの報告が多いので、他の研究がないか探してみようと思います。

マミー
マミー
日本にこの結果が当てはまるかは分からないですか?

Dr.KID
Dr.KID
同じ研究者からの報告ですので、ベルギーの結果を日本に一般化するのは、慎重にならざるを得ないですね。

まとめ

  •  ベルギーで行われた小規模のRCT
  •  アラームを使用することで、日中の排尿コントロールの成績が向上
  •  比較的、短期間で効果があるかもしれない
  •  サンプル数が少ない、日本に結果を一般化できるかは分からない

 

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ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。