- トイレットトレーニング(以下:トイトレ)前に便秘の治療
- 便秘が未治療のままトイトレすると、時間がかかってしまうことがある
は小児科では定説のように言われていますが、この根拠はどこから来ているのでしょうか。
今回、その基となる論文を発見したので、そちらを見てみましょう。
- アメリカで行われたコホート研究
- トイトレの完了に与える因子を検討
- 便秘があると、トイトレ完了の年齢が遅くなる傾向にあった
研究の概要
今回の研究は、2004年にアメリカから報告されたコホート研究になります。
対象となったのは、
- 17-19ヶ月
- 406人
です。この幼児を2〜3ヶ月毎にインタビューを、トイトレ完了までフォローしています。
最終的にトイトレ完了の年齢を関連がある因子を探索しています。
結果について
Linear regressionを利用して、トイトレ完了の年齢に与える因子を比較していますが、
- トイトレ開始年齢が遅い
- トイトレの拒否
- 頻回の便秘
などが主に影響していたようです。
感想と考察
慢性的な便秘のお子さんは、「排便したい」「排尿したい」といった排泄の感覚が鈍くなってしまっていることがあります。トイトレには、こういった体のシグナルに反応することが重要ですので、便秘があれば先に治療することが推奨されています。
今回の研究でも、同様の影響がありました。実際に便秘のお子さんを診療すると、昔から続いていて慢性的なお子さんもいます。乳幼児は排便周期がうまく確立できないことがありますし、仮に排便周期がしっかりしていても、ちょっとした体調不良や環境の変化でリズムが崩れることがあります。
一方で、トイトレの開始年齢や拒否などは、そのお子さんの発達やキャラクターなどばらつきが大きいので、この研究結果を鵜呑みにしすぎない方が良いでしょう。
本人が発達・興味・身体機能から準備ができたら開始すれば良いのであって、「早く始めた方が良い」を意味しません。
現に早く始めすぎると、トイトレの期間が長くなるという研究結果もあります。
トイトレの準備ができているかは、こちらに記載しています。
まとめ
今回はトイトレの完了年齢に影響する因子を検討したアメリカのコホート研究の結果を解説しました。
頻回の便秘があると、トイトレの完了が遅れる傾向にあるようです。
便秘がひどい場合、トイトレ開始前に治療することもあります。
- アメリカで行われたコホート研究
- トイトレの完了に与える因子を検討
- 便秘があると、トイトレ完了の年齢が遅くなる傾向にあった
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