雑多なタイトルで申し訳ありません。COVID-19(新型コロナウイルス感染症)に関して、いくつか文献や資料に目を通したので、ここでダイジェスト風に記載させていただければと思います。
普段は基本は1記事・1論文ですが、それですと資料の数に追いつけないので、しばらくはこの形式で行こうと思います。
成人に関しては、ツイッターや公的機関からの報告が多いですが、小児の報告を発信されている方は非常に限られています。現状を把握するにはデータが必要ですので、粛々と記していこうと思います。
- 日本と中国の累積感染者数の推移
- ダイアモンドプリンセス号における小児の感染例
- 年齢別の致死率と信頼区間の比較
- 乳児9例の症例報告
ダイアモンドプリンセス号における小児のCOVID-19 (新型コロナウイルス感染症)
ダイアモンドプリンセス号における小児のCOVID-19 (新型コロナウイルス感染症)は、昨日、データが少し公開されました。
個人の情報を追えている訳ではないですが、感染者は割と少数で、無症状の小児が多かったようです。
その後の経過はわかりませんが、ご無事であることを祈っています。
ダイアモンドプリンセス号におけるCOVID-19症例
小児の感染者のデータは以下の通り:
0〜9歳:1人/16人 (6%)
[無症状で経過]
10〜19歳:2人/23人 (9%)
[無症状は1人、有症状は1人]https://t.co/6mvBIKzX7j pic.twitter.com/XvmP8t7rRx— Dr. KID (@Dr_KID_) February 20, 2020
ダイアモンドプリンセス号におけるCOVID-19症例
小児の感染者のデータは以下の通り:
0〜9歳:1人/16人 (6%) [無症状で経過]
10〜19歳:2人/23人 (9%) [無症状は1人、有症状は1人]
中国と日本の感染者数の推移
中国と日本の感染者数の推移は以下の通りです (2/20時点)
- 中国:75690人
- 日本:85人
中国の累積感染者数の推移
中国では、もうすぐ8万人に差しかかろうとしています。
図のY軸のスケールを対数化させて見てみましょう:
希望的な観測ですが、そろそろプラトーに達してくるのではと勝手ながら考えております。
日本の累積感染者の推移
日本の患者数の推移は以下の通りです:
まだ上昇トレンドにありそうな印象です。
同じく、Y軸を対数化してみましょう:
近々、累積数が100人を超える見込みですね。おそらく、2−3日以内ではないでしょうか。
年齢別にみた致死率・死亡率
中国のCDCから、2/21時点のデータで致死率と死亡率が報告されています。
(ソースはこちら)
こちらの表から致死率をと95%信頼区間をプロットすると、以下のようになります。
年齢とともに、致死率が高くなっているのが分かります。ただし、小児の感染者数が少なく、これはデータの集計が追いついていないのか、医療へのアクセスがどうかなど、複雑ですので、もう少しデータの蓄積を待って判断した方が良いと思います。
また、0〜9歳と言うざっくりとしたカテゴリーです。小児でも、生後1ヶ月、3ヶ月、1歳、2〜3歳、4〜6歳、7〜9歳で、かなり異なります。そう言う意味でも、まだデータは不十分と言えます。
もちろん、危険性を煽りたい訳ではなく、まだ判断つかない面も多いので、(特に医療者は)あまり楽観的になりすぎないことも重要と思います。
研究の概要
ここからは、1歳未満の乳児の症例集積を簡単に解説します。こちらは、以前、ほむほむ先生(@ped_allergy)がブログとツイッターでも紹介しています。
【NEW!】COVID-19 (#新型コロナウイルス 感染症)のアウトブレイクに関し、研究報告は様々読んではいるもののブログではご紹介してきませんでした。
ただ今回、1歳未満のCOVID-19感染症9人の症例集積研究が報告されており、情報共有のためにご紹介します。https://t.co/M5EpZESRty— ほむほむ@アレルギー専門医 (@ped_allergy) February 15, 2020
Wei et al. Novel Coronavirus Infection in Hospitalized Infants under 1 Year of Age in China. JAMA. Published online February 14, 2020. doi:10.1001/jama.2020.2131
オープンアクセスですので、気になる方は読むと良いでしょう。
対象となったのは、
- 2019年12月8日〜2020年2月6日
- 生後28日以上、12ヶ月以下
- COVID-19 (新型コロナウイルス感染症)に感染
した乳児が該当しています。
症例集積の結果
主なサマリーはこちらになります:
(原著論文より拝借)
症状
症状の内訳は以下の通りでした:
症状 | 人数 |
発熱 | 4 |
軽い風邪 | 2 |
なし | 1 |
情報なし | 2 |
接触歴
全員、家族内での接触歴があるようです。
また、七人は武漢との繋がりがあったようです。
重症化・合併症
乳児は感染症に弱いため、合併症が懸念されますが、この九人は集中治療室に入ったり、挿管したりする必要はなかったようです。重篤な合併症はなかったようですね。
感想と考察
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)が騒動になって1ヶ月以上になりますが、まだ情報が足りていない印象です。
現時点で分かっていることをまとめると、以下の通りです:
まとめ
今回は、
- 日本と中国の累積感染者数の推移
- ダイアモンドプリンセス号における小児の感染例
- 年齢別の致死率と信頼区間の比較
- 乳児9例の症例集積研究
についてアップデートさせていただきました。
今の所、死亡率は高くはありませんが、小児科的な視点で見ると、もう少し細かいデータが見たいです。
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