今日は、文献を2つ目を通して、以下の点をアップデートしました。
1つは3ヶ月児の感染例です。幸い、悪化することなく、順調に経過したようです。こういう新規感染症の時は、症例報告も非常に重要な情報源ですね。混乱の中、報告された医師らには、敬意を示そうと思います。
もう1つは、家族内の集団感染ですが、なぜか7歳と10歳の子供がいたようですが、後者のみが感染したようです。
- 中国と日本の感染者数の推移
- 中国で3ヶ月児の1例報告
- 中国での家族内の集団感染の分析
中国と日本の感染者数の推移
中国と日本の感染者数の推移は以下の通りです (2/23時点)
- 世界:78,554人
- 中国:76,936人
- 日本:129人
中国の累積感染者数の推移
中国では、もうすぐ8万人に差しかかろうとしていますが、徐々に新規感染者は鈍化してきて、頭打ちになってきている印象です。とはいえ、かなりの方が感染している現状です。
図のY軸のスケールを対数化させて見てみましょう:
感染者数の増加速度は、徐々に鈍化してきている印象です。
日本の累積感染者の推移
日本の患者数の推移は以下の通りです:
この図を見てしまうと、まだまだ上昇トレンドにありそうで、勢いは増してきている印象で、これから急速に増えてくるかもしれません。
同じく、Y軸を対数化してみましょう:
累積数が100人を超え、対数化したスケールでも、上昇トレンドになるのが分かります。
韓国で感染者数が400人を超えたという報告も出ているようです。シンガポールも80人を超えています。
小児の3ヶ月児の1例報告
3ヶ月児の論文に目を通しました。重症することはなかったようで、詳細な経過が記載された貴重な論文です。
概要
月齢3ヶ月の女児が、発熱4時間後に受診入院となりました。受診時の検査では、白血球数は高くなく、胸部X線では右肺に浸潤影がありました。
咽頭拭い液では、新型コロナウイルス(2019-nCoV)のPCR検査が陽性を示しています
ペラミビル・アジスロマイシン・セフタジジム?などといった治療を開始し、入院15日後に全快し退院しています。
患児の経過の特徴として、気道症状の出現は比較的遅く、症状は軽かったようです。
家族内感染については、患児の両親は、患児が発病した7日後にPCR陽性となっています。その他の論文を見ても、特に小児の場合は、家庭内の伝播が非常に重要な経路のようです。
また、患児は入院中もPCR検査を繰り返し行われていたようですが、3回連続で咽頭スワブのPCRは陰性だったようですが、同時期の痰と糞便からはPCRから検出されていたようです。
患児の母は発熱や気道症状はなかったようですが、胸部CTを撮影すると、COVID-19でよく見られる浸潤影を両側に認めていたようです。
深圳(Shenzhen)市における家族内感染の報告
家族内で集団感染を起こした症例集積を報告した研究もあります。
概要
家族内の集団感染を分析した報告で、この中に小児が2人いて、1人が感染していたようです。
深圳(Shenzhen)から武漢(Wuhan)に旅行に行って、そこで感染したと思われる家族のようです。ID7の女性のみ、旅行には同伴しなかったようです。
検査陽性者は6人いて(ID: 1〜5, 7)、それぞれの特徴は以下の通りでした:
ID | 年齢 | 性別 | 既往 | 熱 | 咳 |
1 | 65 | 女 | 高血圧 良性腫瘍 |
+ | + |
2 | 66 | 男 | 高血圧 | + | + |
3 | 37 | 女 | + | + | |
4 | 36 | 男 | 副鼻腔炎 | + | + |
5 | 10 | 男 | – | – | |
6 | 7 | 女 | |||
7 | 63 | 女 | 糖尿病 | + | + |
PCRは鼻腔および咽頭ぬぐい液を採取して、どちらか or 両方が陽性になっているようですね。全例でCTを撮影していますが、いずれの症例も特徴的な所見(すりガラス陰影・結節影・胸膜下の浸潤影など)を認めていたようです。
肝心の小児ですが、生来健康な10歳男児で、特に症状はなかったものの、PCRは陽性で、CTを撮影すると、浸潤影を認めていたようです。
不思議なことに、ID6の7歳女児には感染しなかったようです。母曰く「ID5の10歳男児と異なり、ID6の7歳女児は、旅行中も親の指示を守り、ずっとマスクをしていて、感染防御をしていた」とのことでした。
感想と考察
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)が騒動になって1ヶ月以上になりますが、小児に関しては、まだ情報が足りていない印象です。
現時点で分かっていることをまとめると、以下の通りです:
まとめ
今回は、
- 中国と日本の感染者数の推移
- 中国での3ヶ月男児の1例報告
- 中国での家族旅行後の集団感染の分析
についてアップデートさせていただきました。
引き続き、新しい情報、過去の文献を読み込んだら、報告させてもらおうと思います。
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