新型コロナウイルス

小児のCOVID-19 (新型コロナウイルス感染症) の情報(2月28日版)

World Journal of Pediatricsから2/5に発表された、診断と治療の総説的な論文をご紹介します。

ポイント

  •  中国と日本の感染者数の推移
  •  小児の診断と治療の総説的な論文の紹介
マミー
マミー
小児の診断と治療ってどうなっているのですか?

Dr.KID
Dr.KID
2月の上旬に総説が出ているので、そちらを見てみましょう。

中国と日本の感染者数の推移

中国と日本の感染者数の推移は以下の通りです (2/27時点)
  •  世界:81,993人
  •  中国:78,497人
  •  日本:190人

大半が中国で占められていますが、世界全体では8万人が報告されていますね。

 中国の累積感染者数の推移

中国では、もうすぐ8万人に差しかかろうとしていますが、徐々に新規感染者は鈍化してきて、頭打ちになってきている印象です。ここのところは、8万弱がずっと推移していますね。

図のY軸のスケールを対数化させたグラフが右側です。感染者数の増加速度は、徐々に鈍化してきている印象です。

日本の累積感染者の推移

日本の患者数の推移は以下の通りです:

この図を見てしまうと、まだまだ上昇トレンドにありそうで、勢いは増してきている印象で、これから急速に増えてくるかもしれません。

右の図は、Y軸を対数化しています。

累積数はもうすぐ200人で、まだ上昇トレンドにあるのが分かります。

韓国で感染者数が1,500人を超えたという報告も出ているようです。シンガポールは90人、イタリアが400人を超えています。 
また、アメリカなどを含め、渡航制限が今後どうなるかも注目しています。現在はアメリカは日本に対してレベル2「高齢者や慢性疾患のある人は、不要な渡航を控え、延期するよう推奨」の設定のようです。
韓国に対しては、さらにレベル3に引き上げられています。

  新型コロナウイルスの診断と治療:総説

World Journal of Pediatricsから2/5に発表された、診断と治療の総説的な論文です。

 概要

2月の上旬なので、少し古い記載になってしまいますが、小児の新型コロナウイルスの診断と治療に関して、一般的な見解が凝縮されていると思います。

今回はこちらの論文を紹介させていただきます。簡単にまとめのみ、記していきます。

Dr.KID
Dr.KID
実践される医療者は、私の記事だけでなく、必ず論文を読んでくださいね。

潜伏期間

  •  2〜14日(3〜7日が多い)

症状

無症状のこともあるが、

  •  微熱
  •  呼吸苦は発症してから1週間後くらいが多い
  •  ただし、数日で急速に悪化するケースもある

血液検査

  •  CRP:正常〜軽度上昇
  •  PCT:上昇していた場合は、細菌感染を示唆?
  •  肝酵素:上昇することがある
  •  CK:上昇することがある
  •  D-dimer:上昇することがある

これ以外にも、過去の症例報告では、LDHが上昇しているものもあるようです。

診断

現状ではRT-PCRが必要で、

  •  咽頭・鼻腔
  •  痰
  •  血液
  •  便

から検出されている。

画像診断

  •  胸部レントゲンやCT

斑状のすりガラス陰影が、外側に認める

鑑別疾患

  •  他のウイルス:RSウイルス、ヒトメタニューモウイルス、インフルなど
  •  細菌感染
  •  マイコプラズマ

など

治療

  •  隔離:
    疑い症例は個室で隔離、確定したら感染者同士の相部屋は許容
  •  一般的な治療法:
     十分な栄養・水分・電解質をとる
     不安に対する心理的なサポートも忘れずに
  •  抗ウイルス薬:
     IFN-α2bのnebulization
     Lopomavir/Litonavir
  •  抗菌薬:
     必要時に使用、ルーチンでの使用は推奨しない
  •  ステロイド:
     原則使用しない
     喘鳴、脳症、血球貪食症候群など例外はある
  •  BAL:
     交差感染の観点から推奨しない
     明らかに気道を閉塞するような状態であれば検討
  •  その他、重症例:
     血液浄化
     人工呼吸器による呼吸サポート
     ECMO

退院の目安

  •  呼吸の状態が落ちついて3日以上経過
  •  1日以上間隔をあけて、PCRが2回陰性
  •  退院後も自宅で14日以上過ごすのが望ましい

 

 感想と考察

COVID-19(新型コロナウイルス感染症)が騒動になって1ヶ月以上になりますが、小児に関しては、まだ情報が足りていない印象です。

現時点で分かっていることをまとめると、以下の通りです:

Dr.KID
Dr.KID
今日は、総説の紹介だけですので、リストの追加はありません。

まとめ

今回は、

  •  中国と日本の感染者数の推移
  •  小児の診断と治療の総説の解説

についてアップデートさせていただきました。

引き続き、新しい情報、過去の文献を読み込んだら、報告させてもらおうと思います。

created by Rinker
手ピカジェル
¥714
(2023/11/19 10:50:29時点 Amazon調べ-詳細)

当ブログの注意点について

Dr.KID
Dr.KID
当ブログは医療関係者・保護者の方々に、科学的根拠に基づいた医療情報をお届けするのをメインに行なっています。参考にする、勉強会の題材にするなど、個人的な利用や、閉ざされた環境で使用される分には構いません。

Dr.KID
Dr.KID
一方で、当ブログ記事を題材にして、運営者は寄稿を行なったり書籍の執筆をしています。このため運営者の許可なく、ブログ記事の盗用、剽窃、不適切な引用をしてメディア向けの資料(動画を含む)として使用したり、寄稿をしないようお願いします。

Dr.KID
Dr.KID
ブログの記載やアイデアを公的に利用されたい場合、お問い合わせ欄から運営者への連絡お願いします。ご協力よろしくお願いします。

 

 

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。